校長室から

「祝婚歌」(夕会で職員に詩を紹介しました)

2019年12月11日 17時30分
教師向けの話

 先日、ある方にこの詩を紹介していただきました。私は、この詩に出会ってから、何だか心が軽くなった感がしています。
 この詩は、新婚夫婦に対するものですが、教室での教師と子どもの関係、職員室内の同僚同士の関係、家庭での親子関係に置き換えても、十分にしっくりくるのではないかと思い、職員全員に紹介しました。



祝婚歌  吉野弘


二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長続きしないことだと気づいているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
疑わしくなるほうがいい


正しいことを言うときには
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときには
相手を傷つけやすいものだと
気づいているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい

令和2年度学校経営構想(案)について

2019年11月25日 17時25分
教師向けの話

 来年度の教育課程編成作業を行うにあたり、先日、校長として「どんな学校を目指していくのか」といった学校経営構想の概要を、全職員に説明を行いました。それが、以下の通りです。
 細かな文言修正等は、今後多くの方々のご意見をお聞きしながら随時行っていこうと考えていますが、ホームページ上に公開することで、大まかな考え方について地域や保護者の方々にご理解をいただくとともに、ご意見などあれば直接、校長までご連絡いただければと思います。なお、今後はここに示された学校教育目標を具現化するための方策を全職員の知恵を絞って検討していく予定です。よろしくお願いします。



1 はじめに
(1) 校訓に込められた思い
 校訓「誠実」は、本校教育の歴史を貫く最高理念として位置づけられ、本校創立当時の理念や意気を反映しており、建学以来、連綿と受け継がれてきた。
「誠実」には「まじめで嘘をいわない」「そのものに心を打ち込み、没頭してやり抜く姿」「気力が充実して、言行が一致している」といった向笠に集うものすべての基盤となる人間性を示している。今後も、この校訓に込められた先達の思い・地域の願いを受け継いで、学校経営を展開していく。
(2) 本校児童の強みを伸ばす
 概して、子どもたちは「やってみたい」「挑戦したい」というまっすぐな思いをもって教育活動に取り組む。これは、紛れもなく本校の子どもたちの良さであり、今後さらに伸長すべく指導・支援に努めねばならない。
(3) 小規模を強みにした学校経営
 本校の児童数は、今後も140名から150名程度を推移すると思われ、市内でも小規模校の部類に含まれる。この小規模であるという環境を、本校の持つ強みととらえ、学校経営を展開していきたい。

2 学校教育目標「瞳を輝かせ 最後までやり遂げる子(仮)」
 校訓が学校創立当時から続く恒久的な理念だとすれば、学校教育目標は短期的な目標と言える。本校では、平成23年度から学校教育目標を「瞳 輝く子」とし、子どもの姿で、学校教育の目標を示している。「瞳 輝く子」に寄せられた思いとは、個が尊重される教育活動を基盤とし、主体的に学習し、生き生きと生活している姿を理想としてきた。
 本年度は、これまで目指してきた子ども像をさらに進化させた形で、学校教育目標を「瞳を輝かせ 最後までやり遂げる子(仮)」と設定した。
(1) 瞳を輝かせ
ア 自主:自らを進んで伸ばそうとする。目の前の課題を自分の力で解決するために、分かりたい、できるようになりたいという気持ちを持つことや、「分からない」「○○をやりたい」ということを意思表示しようとする態度を育てる。
イ 自治:友達の個性や価値に気づき、ともにそれぞれの価値を磨きあい高めあおうとする。子どもたち自身がより良い学級、より良い学校を作っていこうとする態度を育てる。
ウ 貢献:ふるさとである向笠の地を愛し、自らを取り巻く社会や環境をより良くしていこうと自ら行動を起こす。
(2) 最後までやり遂げる子
どんなに難しいことがあっても逃げずに乗り越えることができ、自分の人生を楽しく充実したものとして創造することができる「たくましさ」を育てていきたいと考える。具体的には、「できるようになりたい」という思いを持ち続け、根気強く取り組む姿に加えて、周りの人(同学年のみならず様々な年齢の人々)とのつながりやかかわりを深め、一緒に課題を解決しようという態度も含んでいる。
以下に、この言葉を新たに学校教育目標として設定した理由について述べる。
ア 子どもたちの成長から
上述のとおり、「やってみたい」「挑戦したい」というまっすぐな思いをもって教育活動に取り組むところは、本校の子どもたちの良さであり、これまでの学校経営上の一つの成果であるとも言える。しかし、ともすると失敗を恐れ周囲に合わせようとしたり、教師に頼ってしまおうとしたりする姿も見られる。今後は、「やってみたい」と思ったことを、友達と協力しながら最後までやり遂げようという強い気持ちを育てていく段階に入ったと考える。
イ 本校の教育課題から
磐周小学校教育活動検討委員会答申(平成30年6月7日)において、「課題設定に主体的に関わったり試行錯誤を繰り返して追究したりする過程を忌避して、安直に結果を求めがちな児童も少なくない。(中略)昼休みは学校行事や委員会活動、放課後は課外活動、帰宅すれば塾や習いごとというパターンを解消して、じっくりと学習に取り組める環境を整えねばならない。」と述べられている。
このことは、本校の教育課程を見直す上においても重要な視点であり、行事や日課表等を見直す中で、子どもも教師もじっくり取り組める環境づくりを進める必要がある。じっくり取り組める環境を整えたうえで、子どもたち自身の「やりたい」を引き出し、そのことをやり遂げようというたくましい心を育てていかねばならない。
ウ 磐田市の目指す姿から
磐田市教育委員会は、磐田市の教育について、大きな変動が予想される未来に立ち向かっていける「たくましい磐田人(いわたびと)」を育成するために、家庭・地域・学校が連携し、地域総ぐるみで子育てに取り組んでいくと述べている。本校も、磐田市の教育の目指す方向性と歩みを同じにしていかねばならない。

3 学校経営目標 「夢を語ろう そして 一歩前へ(仮)」
(1) 向笠スピリッツ 「すべての子どもの笑顔のために」
向笠小の教職員として、「何のために仕事をしているのか」といった明確なビジョンを持っておきたい。私たちは、子どものために仕事をしているのである。あえて「すべての」という言葉を入れたのは、一人の子どもも一人ぼっちにしないという強い思いの表れである。
子どもたちは「やりたい」を見つけ、幾つもの課題を乗り越え、見事やり遂げたとき、きっと充実感と達成感で満ちた笑顔を見せてくれることだろう。そのような最高の笑顔のために向笠小の教職員は家庭や地域と連携しながら邁進する。
(2) 経営の基盤を支えるもの
向笠小の教職員が向笠の教育を推進する上で、いつも大切にしたい「経営の基盤を支えるもの」を以下の3点にまとめた。
ア 「いのち」を大切に
① 家庭との連携を密に図り、多面的・多角的な視点で子ども理解に努める。子ども理解に完成はなく、時間のかかる地道な作業となる。しかし、本校職員は「時間がないから子ども理解ができない」などと言い訳はしない。深い子ども理解のため、決して妥協は許さない集団であり続けたい。
② 他者とのかかわりやつながりを実感できる機会を多く設定することにより、自己への気づきを促し、自己を適正に評価できるように支援する※。そのため、教師による一斉指導は、笑顔で、冷静に、短時間で終わるよう心掛ける。授業において、意味のある対話(学び合いを意味づける、位置づける、成り立たせる)を意図的に単元の中に組み込んでいく。行事等を作り上げる過程において自然発生的に様々な異学年集団で活動できるよう支援する。小規模校であるが故、小回りが利いて様々な場面において様々な形態の小集団を作りやすいことを生かしたい。
③ 勤務環境改善を図り、教職員の「いのち」も大切にする。教職員が心身ともに健康であることで、子どもたちに笑顔で接することができ、このことが何より高い教育効果を生み出す。
イ 「チーム」として
① 小規模校の良さとして、教職員一人ひとりの個性と能力を発揮しやすいということも挙げられる。学校経営に貢献するために、教職員一人一人が自身の持ち味を生かし、「すべての子ども」のために全力を尽くせる教職員集団でありたい。
② 医療や関係機関との連携、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの積極的な活用により、一人ひとりの子どもにとって最適な支援のあり方を常に追求できるよう、チームとして取り組む。 
ウ 地域とともに
① 向笠の地には、新豊院山墳墓群をはじめとする歴史を感じさせる様々な遺跡、桶ヶ谷沼や鶴ヶ池をはじめとする様々な自然、米やそばをはじめとする様々な農作物、何より本校には先達が整備したビオトープなど、他には類を見ない優れた教育素材が多く存在している。そこで、子どもたち自身がふるさとである向笠の地を愛する心が持てるよう、向笠の自然や地理的条件を生かした教育活動を意図的に創造していく。
② 現在も、本校では地域の方々の支援を受け、全学年で地域の作物を栽培し、加工して食べる「地産地消」の活動を推進している。こうした食農学習は向笠ならではの特色ある活動であるので、今後も積極的に推進していく必要がある。
③ 向笠小の学区は広く、中には土砂災害警戒区域に指定されている箇所もある。さらに交通安全上の課題を抱える箇所もある。しかし、そうした課題だけでなく、地域の見守りボランティアの方々が積極的に活動してくれているという強みもある。そこで、そうした地域の方々との連携を密に図り、防犯や事故ゼロに努めていく。
(3) 学校経営目標「夢を語ろう そして一歩前へ(仮)」に込めた思い
ア 夢を語ろう
子どもの「やりたい」を引き出すために、まず夢を語り合える職員集団でありたい。「できない」ことが先行する議論は閉塞感しか生まれない。授業改善への夢、異学年交流を充実する特別活動への夢、市内水泳大会や陸上大会が終了しても子どもたちの体力の維持向上にかける夢・・など、子どもの成長を肌で感じることができる教職員ほど、次から次へと夢は尽きないものである。
夢を実現するためには、幾つもの課題を解決する過程が必要である。ぜひ、夢を語り合い、ともに課題を解決する教職員集団でありたい。
イ 一歩前へ
① 教師としての技量を「一歩前へ」
 「OECD国際教員指導環境調査2018」によると、日本の小中学校教員は概して「児童生徒に勉強ができると自信を持たせる」「勉強にあまり関心を示さない児童生徒に動機づけをすることができる」「児童生徒が学習の価値を見出せるよう手助けできる」など高い自己効力感をもつ割合が他国に比べ低い傾向にあると述べている。
 一年間、向笠小に集う教職員がお互いに切磋琢磨する中で、「授業力が上がった」「子どもたちのやりたいを引き出すことができた」など、教師としての自信をもてるようにしたい。
② 子どもの姿で「一歩前へ」
教育の成果は子どもの姿で語られるべきである。子ども自ら「やりたい」を見つけ、それを子どもたち自身で多様な同学年・異学年交流の機会の中で試行錯誤しながらやり遂げる姿を多く見られるようにしたい。そのような姿が多く見られた時、学校として「一歩前へ」進んだと言えよう。

2020年度向笠小グランドデザイン(案).pdf


 

友達の力をあてにするために、まず自分から(会礼での校長の話)

2019年11月19日 15時31分
子どもたちへのお話

 本題に入る前に、先日の「かがやきフェスタ(学習発表会)」についての感想を述べてみたいと思います。一言でいうと、本当に感動しました。最初から最後まで先生たちが前に出ることなく、計画委員を中心に、子どもたちだけで進めることができました。さらに、各学年の発表が、これまで学習したことをふまえ、工夫された内容になっていました。何よりみんなの表情が実に豊かで、発表の声も大きかったです。私は皆さんの成長を感じました。

 さて、ここから本題に入ります。始業式の日に、2学期に目指してほしい姿として、この先、どんなに難しいことがあっても逃げずに乗り越えてほしいという願いから「たくましさ」を挙げました。覚えているでしょうか。今日は、このことについてもう少しお話ししてみたいと思います。
 
 「たくましさ」を身につけてほしいとお話ししましたが、正直、自分で「これ、やりたい」と思っても、そのことを最後までやり遂げるというのはなかなか大変です。甘い誘惑が次から次へとおそってきます。例えば、「テストで100点取りたい」と思って勉強を始めても、「面白いテレビ、見たいなあ」とか「ちょっとだけ、ゲームしようかな」「今日1日だけならいいかな」などという思いがふっと思い浮かびます。こういう思いに負けちゃったら「テストで100点」は遠い夢になっちゃいます。だから、そんな甘い誘惑を断ち切るよう、我慢することも大事になってきます。

 まずは、自分一人で頑張れるよう、強くなることです。

 でも、なかなかそういうわけにもいきません。ではどうするか。友達の力をあてにできるといいですね。
 友達に自分のやり遂げたいことを打ち明けて応援してもらうこともそうでしょうし、くじけそうになった時に叱ってもらったり励ましてもらったりすることも友達の力を借りることになるでしょうね。
 では、友達の力を借りるためにまず何をすべきか。自分が友達のことを大切にするということです。大切にするということは、友達に興味を持つこと、友達の気持ちを分かってあげようとすることです。これは、そんなに難しいことじゃありません。友達に会ったら挨拶する、顔が曇っていたら「どうしたの?」って声をかける、友達が何か良くないことをしていたら注意してあげる、これだけです。

 実は、私も皆さんから力をもらっているのですよ。「校長先生」って声を掛けてくれたり、ニコッとして手を振ってくれたりする子もいます。朝、校門で落ち葉を掃いていると「ありがとうございます」「おつかれさまです」って一声かけてくれる子もいます。「たったこれだけ」のことって思うかもしれませんが、私にとってはこのたった一言がものすごい力になっているし、逆にみんなのためにもっと何かをしたいという気持ちもわいてきます。

 いろいろなことをやり遂げる「たくましさ」を身につけるためには、自分自身が強い気持ちを持つことに加え、友達と一緒に頑張ろうとすることも必要で、そのためにはまず自分が友達のことを大切に思うことだよというお話をしました。これで、私のお話は終わりにします。

落ち着いた雰囲気の中で(職員会議での校長の話)

2019年11月14日 08時28分
教師向けの話

 本校の子どもたちは、概して学習や運動に前向きで、自分を伸ばそう、成長したいという気持ちを持っています。私たちは、そういった子どもたちの気持ちに寄り添い、「やりたい」が実現できる環境を整えることが何より必要だと考えています。最低限、落ち着いた雰囲気の中で教育活動を実施できるようにはしたいと考えています。
 そこで、この日(11月13日)の職員会議で私は、職員に、学校が「荒れる」とか「落ち着いている」などと表現されるが、落ち着いた雰囲気を維持するためには教師は何から取り組めばよいのだろうと話をしました。
 以下は、その話の概要です。


1 学校が「荒れる」とは
 これまで一般的にどのような状態を「荒れる」と表現してきたのだろうか。私のこれまでの経験では、下記の順に「荒れ」は広がっていくように思う。
(1) 場が荒れる
ゴミが各所に落ちている、靴やトイレのスリッパがバラバラ、
教室の中が雑然としている(机の並び、床の上に文房具などが多く落ちている、掲示物が剥がれたままに)
(2) ことばが荒れる
「てめえ、このやろう」など文字通り言葉が汚い、場をわきまえた話し方ではない(声の大きさ、敬語の使い方・・)、やたらとひそひそ話をする、人を傷つける言葉や侮辱する言葉が飛び交う
(3) 行動が荒れる
小集団で固まり学級全体に帰属しない、授業等を妨害する、他の児童や教師に対する暴言・暴力、器物破損

2 学校が「落ち着いている」とは
「荒れる」ことの反対が「落ち着いている」状態となる。では、どのようなことに心掛ければ「落ち着いた」状態を継続できるのだろうか。
(1) 場を整える
○ 教師が率先垂範して、ゴミを拾う、靴やトイレのスリッパの整頓を行う、教室内の環境整備(学級掲示なども含む)に努める。
○ 「場が整うと気持ちが落ち着く」という感覚を子どもが味わえるようにする。
(2) 美しい日本語を使う
○ 教師自身が「てめえ、このやろう」など汚い言葉や傷つける言葉を使うのは問題外。
○ 教師の声が大きくなるほど、子どもの声は小さくなり、ひそひそ話をするようになる。大声での叱責はもとより、教師による一斉指導は、笑顔で、冷静に、短時間※で…。
※ 以前にも紹介しましたが、オランダイエナプラン教育の創始者であるペーターセンはイエナプラン校を「沈黙と静寂の学校」と評した。子ども同士、子どもと大人が対話することを重視する一方、言葉の氾濫が学習活動の目的を不明瞭にすることを避けねばならないと話している。
○ 子どもたちの言葉遣いに敏感になる。
(3) 子どものエネルギーを正しい方向に向ける
○ 授業は最初の10分間が勝負。子ども自身が、「何のために」「どのように」学ぶのかをしっかり理解できれば、進んで学びに向かう。
○ 意味のある対話(学び合いを意味づける、位置づける、成り立たせる)を意図的に単元の中に組み込んでいく。

第2回学校運営協議会が行われる

2019年10月29日 17時31分
保護者向けの話

 本校では、磐田市学校運営協議会規則に基づき、9名の協議会委員による協議会を設置しています。本規則では、学校は協議会に対して教育課程や学校経営計画に関する基本方針等を提示し、承認を受けることとなっています。

 本日(10月29日)の協議会においては、授業参観後、学校から中間評価結果の説明に加え、来年度以降の教育課程等を検討するうえで大切にしたい2つの方向性について説明をさせていただきました。

概要は、以下の通りです。
(1)子どもも教師も1つのことにじっくりと取り組める環境づくり
○学習指導要領改訂により「学習者主体」が明確になってきた。さらに外国語活動及び外国語科で35時間の増となる。
○地区小学校水泳競技大会や音楽科研究発表会、陸上競技大会においても、じっくりと学習に取り組める環境を整える等の理由から今年度で終わりとなった。
○本校においても、子ども自身が学校行事を企画し、準備・運営できるよう、数と内容を検討する必要があると考える。さらに、時間に追われることのない日課表の工夫も検討していきたい。
(2)小規模校であることを強みにした学校運営
○多様な異学年交流の機会を生み出していきたい。学級以外の新たな人間関係を通して、学級の中では見せなかった違う「顔」を見せる子どもたちも増えるのではないかと考えている。
○学校行事や児童会行事をはじめ様々な教育活動を、異学年交流の機会ととらえて、内容の見直しを図っていきたい。

 協議会委員の皆様からは、以下の意見や感想などが出されました。今回出していただいた意見を参考に、これから校内で時間をかけて検討していきます。第3回協議会では、一定の形を提示できるようにしていきます。

○全体的には、子どもたちはよく挨拶ができるのではないかと感じている。一部に自分から挨拶をしない子どもがいるのが気になる。地域全体で続けていく必要がある。
○ホームページ等で学校の様子がよく分かりありがたい。まわりの保護者からも「学校に対して気軽に相談できる雰囲気ができてきた」という声を聴く。
○校長から話が合った2つの方向性を聴き、子どもの可能性がさらに広がる予感がしてワクワクしてくる。地域も協力していきたい。
○水泳大会や陸上大会等の終了に伴い、体力面の低下が懸念される。
○学習者主体という言葉が出てきたが、子どもに何でもお任せではいけない。人と人とのつながり、かかわりなど教師の適切な支援がないと効果的な学びにはならない。

就学時健診で校長から保護者の皆様にお話ししたこと

2019年10月16日 18時30分
保護者向けの話

本日(10月16日)、24名の年長児及びその保護者が、本校に就学時健診のため来校されました。磐田市教育委員会を代表して田中指導主事が挨拶を行っていただきました。


 校長からも、以下の内容で保護者の方々にお話をさせていただきました。

 本日はご多用の中、就学時健康診断においでいただきありがとうございます。校長の佐伯泰司と申します。私からは、少々、お時間をいただき、学校概要と2つほどお願いしたいことをお話しさせていただきます。

 本校は、児童数152名、全教職員23名の学校です。小規模校ならでは教師と子どもの結びつき、地域や保護者と学校との結びつきが感じられるアットホームな雰囲気の学校だと私は感じています。さらに詳細につきましては、1月の入学説明会の折にお話しさせていただきます。

 さて、ここからは、保護者の皆様へのお願いということになります。まず、子どもたちに「朝の力」をしっかりつけておいてほしいということです。「朝早く起きる」「朝ごはんをしっかり食べる」「朝の挨拶をしっかりする」ことの3つです。生活習慣をしっかり整えて、学校でしっかり活動できる素地を作ってほしいということです。さらにこのことに加えて、人とかかわる上での潤滑油にもなる「あいさつ」ができる子どもに育ててほしいと思っています。

 もう一つのお願いは、ぜひ一度本校のホームページにアクセスしてみてくださいということです。毎日更新していますので、学校の今が分かっていただけるかと思います。スマートフォンやタブレットでもご覧いただけます。

 では、今後入学に当たって,成長・健康に関することや学校生活について心配なことがありましたら,磐田市教育委員会や向笠小学校にご相談ください。以上、よろしくお願いします。

台風19号から感じたこと(会礼で話したこと)

2019年10月15日 14時59分
子どもたちへのお話

 本日(10月15日)、会礼がありました。今日は、本当は違うお話を用意していたのですが、急遽、台風19号やラグビーワールドカップのニュースから感じたことをお話しすることとしました。以下が、その概要です。


 この3連休は、本当にいろいろなことがありましたね。皆さんの家では、台風19号の影響についてあまり大きなものはなかったと聞いていますが大丈夫でしたか?祭典も行われたようですが地域の良さを満喫することはできましたか?日曜日には、ラグビーワールドカップで日本代表がスコットランド代表に勝利し、決勝トーナメント進出を決めましたね。このことに大興奮した人も多いのではないでしょうか。私もその一人です。
 さて、全国的にみると、今回の台風で川が氾濫したり土砂が崩れたりして、中には犠牲者が出ている地域もあるようですね。被災された地域の方々には一日も早い復旧を願うばかりです。テレビでは、「数十年に一度」とか「かつて経験したことがないような」などと表現されていましたが、実はこういった表現も最近よく聞くようになったと思いませんか?つまり、これまでにない大規模災害がいろいろな地域で頻繁に起きているということです。
 今回は、偶然にも私たちが住む地域は大きな被害には遭いませんでしたが、いつ自分たちの身に起こるか分かりません。想像してみることです。もしものことが起こった時、自分には何ができるだろうかって。

 昔、私が中学校の先生をしていた時のことです。定期テスト中、みんなが集中してテストに取り組んでいるとき、急に教室がガタガタって大きく揺れたのです。みんなならどうしますか?その時、急に立ち上がって固まった子、なぜか筆箱だけ持って教室を飛び出した子がいました。今から30年以上前のことですが、よく覚えています。みんなパニックになって、何をしていいかわからず、そんな行動を無意識にしていたのです。
 さらに、宮城県石巻市の大川小学校では、2011年の東日本大震災の津波で全校児童108人中73人が、先生たちは11人中10人が犠牲になったのです。なぜ、こんなに多くの人が津波にのみ込まれてしまったのか、何かあったら運動場に避難することは決まっていたけど、その先を決めていなかったようです。大きな津波がくることは想像していなくてみんな、運動場に長い時間座ったままどうしようって迷っている間に津波が近くまで来たのだそうです。
 だから、いざという時に行動できるためには、普段から「自分はどこを通ってどこに逃げるのか」ということぐらいは考えておく必要があるということです。

 話を今回の台風19号に戻しますと、14日(月曜日)の新聞に「カナダ代表、冠水地域清掃」という記事を見つけ、私は感動しました。岩手県釜石市で開催予定だったラグビーワールドカップの1次リーグB組のナミビア対カナダ戦が台風のため中止になったとのことです。台風被害の一報を聞いたカナダ代表選手は、市内で約1時間半にわたり泥を片付けるボランティア活動を実施したそうです。試合ができないことで選手はさぞ悔しかっただろうに、自分たちの悔しさより、台風で被害に遭った人の心に寄り添い行動できるカナダ選手はすごいなと思いました。
 だから、もし自分の身の回りで災害が起こり、幸運にも自分の身は助かったとして、今度はまわりの人に何をしてあげられるのだろうかって、そんなことも考えておかないといけないなって思いました。

静岡新聞 令和元年10月14日(日) 朝刊から

新任校長研修に参加して感じたことを中心に(夕会で職員に話したこと)

2019年10月4日 08時47分
教師向けの話

 先日、新任校長研修に参加させていただきました。その中で、私が感じたことを、夕会の中で職員にお話ししました。ここでは、概要をお知らせします。

1 「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」から

(1) 来年度から、上記ガイドラインが施行されます。これによると、勤務時間の上限を①月45時間以内・年間360時間以内 ②予見することができない業務量の大幅な増加がある場合(学校事故対応、いじめや学級崩壊等重大事案など)は月100時間未満・年間720時間以下 ③複数月平均80時間以下 ④月45時間を超えるのは6月まで となっています。

(2) 子ども一人一人にじっくりかかわるための心身の余裕を生み出すために、超過在校時間を減らそうとする職員個々の意識改革や効率的な業務改善は必要です。ただし、やるべきことをやらずに帰るような中途半端な勤務は、逆に職員のストレスを生むことになるので、単に勤務時間を縮減するだけでは逆効果になることが予想されます。

(3) 子どもを理解すること、子どもが主体的に学習する環境をつくることは、とても手間がかかることです。しかし教師は、「時間がないから、子どもをよく見られない」「時間がないから、いい授業はできない」などの言い訳は絶対に言ってはいけないと思っています。だからこそ来年度は、そんなことを言わなくてもいいような教育課程を組みたいと考えます。


2 「主体的・対話的で深い学びという視点から危機管理を考える(静岡大学教職大学院 町岳 准教授)」校長研修から
(1) 概要
本来であれば、何か困ったことがあれば、自分で何とか頑張ろうとしてほしいところですが、頑張り切れないことが多いのも確かです。ならば、お互いに助け合える集団を形成し、友達に相談できる子どもにしたいものです。「主体的・対話的で深い学び」を生み出すことにより、より良い集団作りを進めたいといった趣旨の講話でした。

(2) 「主体的・対話的で深い学び」を生み出すための3つの視点
これも、講話の中で講師の方から教えていただいたことです。とても印象に残ったので、職員にも紹介しました。
い…学び合いを意味づける。(何のための学び合いか)
い…学び合いを位置づける。(その場面で学び合いを行ったのはなぜか)
な…学び合いを成り立たせる。(成り立たせるための具体的な手立てをとったか)

3 おわりに
(1) 沈黙と静寂の学校を。言葉の氾濫が学習活動の目的を不明確にすることを避けねばならない。(イエナプラン教育創始者:ペーターセン)
(2) 「黒板の前が、教師の指定席・・」といった授業は、本校では皆無と言ってよいと思っています。授業の中での主人公はあくまで子どもたちです。「教師は、どこにいるのか分からない」ぐらいでちょうどいいと考えています。

子どもたちの安全・安心を保障するために(職員会議での職員への話)

2019年9月18日 16時52分
教師向けの話

 「安全」「安心」は学校が保障すべきものです。今回は、本校職員として最低限心得ておくべき内容を再確認する意味でお話ししました。特に、「安全」の中で示した「止まった刻~検証・大川小事故 河北新報社報道部 著」は、私自身、その内容に衝撃を受けたと同時に、職員にもぜひ読んでほしいと勧めました。
 以下が、職員に話をした内容の概要です。

 

1 「安全」~事前防災の見直しについて
(1) 「止まった刻~検証・大川小事故 河北新報社報道部 著」から
ア 2011年3月11日午後2時46分、石巻市立大川小児童108名中73名が、学校にいた教職員11名中10名が犠牲となる。当日、校長不在。津波を想定した具体的な避難場所を指定していなかった。
イ 津波が来た瞬間、先生たちは悔しかったと思う。絶対に後悔したはず。約50分あって、ほんの1分程度しか移動しなかったこと。そして3月11日以前、あらかじめ準備していればと。(本文から抜粋)
ウ 原告団長の言葉。「学校は子どもを守るプロがいる、最も安全で安心できる場所。親はそれを疑いもしていなかった」「最低限、何があっても命は保障してもらわなければ、これからの義務教育、何を信じて学校に子どもを預けるのか」
(2) 子どもたち自身で避難できるために
ア 避難先(集合場所)と避難ルートの再確認を。
 校舎内の火災なら避難先は運動場。不審者侵入ならベランダを通って体育館へ。震度6レベルの地震なら教室にとどめ体育館で保護者へ引き渡し。今後、さらに精度を高めていく必要あり。
イ 子ども全員が確実に避難したことを確認するための教師の立ち位置は。
 避難後に「1人いません」は絶対に許されない。そのため、子どもたちが主体的に避難する最後尾を教師がつく。転倒、動けない子どもがいないか確認しながら避難場所へ。

2 「安心」~特別支援教育の視点から
(1) 病名がはっきりすると安心する心理
 病気が長引く患者が医者を転々と。病名がはっきりした瞬間に安心する患者の心理は想像しやすい。教育も同じ。何らか気になる行動を子どもが繰り返す場合、親は学校に対して明確な指導方針及び指導環境の在り方を望むのが当然であるし、学校側の提案に納得できてはじめて安心を与えられる。
(2) 安心して(心を落ち着けて)学習できる環境づくり
 教師は意識的・無意識的にかかわらず、個々の子どもの観察や保護者との面談から、一人一人に適当な環境を整えている。上記の方法で解明できない子どもの表れに対して、医療やSC・SSWなど専門家の知見を借りてでも早急に見立てを行い、指導方針や環境を決定する必要がある。特別支援学級への入級などは一方策に過ぎない。
(3) 「自分の力で何とか・・」変なプライドが邪魔するケースも
 専門家の知見を借りること、他の教員の助言を受けることを逡巡していると、結局は子どものためにならずに、時間だけが過ぎていく、状況は悪化するばかりという負のスパイラルを生む。「自分の力だけで何とかするんだ、他者の力は借りない」などという教師のプライドは邪魔なだけで何のメリットも生まない。

静岡県の教職員としてキャリア形成をいかに図るか(職員向けの話)

2019年9月11日 17時36分
教師向けの話

 この日の夕会で、「静岡県の教職員としてキャリア形成をいかに図るか」という内容で話をしました。採用時に求められるものとして「教員採用選考試験要項」から、それ以降の教員に各ステージで求められるものとして「静岡県教員育成指標」から示しました。詳細は、以下の通りです。

1 はじめに
 留任も転任も意味があること。自身の「強み」を買ってくれて、自分を必要としている場所がどこなのか、それだけの問題。
※ 自分に合った仕事を探しているはおかしい。仕事というのは社会に空いた穴。そのまま放っておくとみんなが転んで困るから、そこを埋めてみる。俺が埋めた分は世の中が平らになった。仕事はお前のためにあるわけじゃなく、社会の側にある。最近は地面の上に余計な山を作ることが仕事だと思っている人が多い。社会が必要としているかどうかという視点がないから。「超バカの壁(養老孟司 著)から抜粋」

2 静岡県教員育成指標から
(1) 静岡県では、教職員のキャリアを採用時、基礎・向上期(概ね34歳まで)、充実・発展期(概ね49歳まで)、深化・熟練期(概ね50歳以上)の4つのステージに分類している。
(2) 充実・発展期には、「自らの立場や役割を自覚して・・」「自己の強みを確かなものに・・」「同僚への指導助言を・・」「同僚に働きかけて協働的に・・」の言葉が並ぶ。
(3) 深化・熟練期には、「指導的な立場として・・」「学校運営をリードする立場として・・」「人材育成の推進役」「組織に働きかけ・・」「組織的に教育活動の改善を・・」の言葉が並ぶ。
(4) 一つ上のステージを見据えて自己研鑽に努める。特に、「自己の強み」は重要。何を武器に学校に貢献できるか。

3 教員採用選考試験募集要項から
「学び続ける教員」が選考のテーマ。真摯に学び続ける姿勢を持っているか。「授業力」「生徒指導力」「教育業務遂行力」「組織運営力」が身についているかが合格のカギ。
※ 「伸びる選手の3つの条件~原辰徳監督インタビューから」①素直であること(過去の栄光やプライドにしがみつかず素直に指導を受け入れ励む)②謙虚であること(謙虚に自分を省みて行動につなげる)③朗らかであること(失敗を恐れず常に前向きに行動できる朗らかさ)

4 おわりに
 子どもが大好きで笑顔が素敵な教員が集う学校はそれだけで活性化する。
 私は、教育実習生に「自身が教職に向いているか否かを見極める最後のチャンス」と声掛けをしていた。ただし、その判断基準は授業力だとか生徒指導力ではなく、子どもとかかわることが楽しいと思えるかどうかだと言い添えて・・。