校長室から

「祝婚歌」(夕会で職員に詩を紹介しました)

2019年12月11日 17時30分
教師向けの話

 先日、ある方にこの詩を紹介していただきました。私は、この詩に出会ってから、何だか心が軽くなった感がしています。
 この詩は、新婚夫婦に対するものですが、教室での教師と子どもの関係、職員室内の同僚同士の関係、家庭での親子関係に置き換えても、十分にしっくりくるのではないかと思い、職員全員に紹介しました。



祝婚歌  吉野弘


二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長続きしないことだと気づいているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
疑わしくなるほうがいい


正しいことを言うときには
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときには
相手を傷つけやすいものだと
気づいているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい