保護者向けの話
最近は、新型コロナウイルス感染症予防と熱中症予防を両立させるための対策として、 「3密」ならぬ「3とる」という考え方があるそうです。この「3とる」とは・・
1.人との距離を十分に「とる」
2.人との距離をとったうえで、マスクを「とる」
3.水分を「とる」 だそうです。
先日のおたよりの中で「登下校時のマスク着用は求めません」と書きましたが(詳しくはこちら)、エアコンがきいた教室にいても、一日中マスクを着用することは息苦しく感じるような毎日になってきました。ならば、この「3とる」の考え方をもとにして、一人学びをしている時、例えばプリントやテストをやっている、パソコンに向かって調べ学習をしている時などは全くおしゃべりしていないので飛沫感染の心配もないからマスクを外しましょう、子どもたち全員が先生の話を一斉に聞いている時も同じ理屈でマスクを外しましょう・・とすると、少しは楽になるかなと感じています。
では、教員側についてはどう考えるかです。子どもたちへの感染リスクを軽減するためには、飛沫を防ぐための方策を講じなければなりませんが、教員だって教室内で一日中マスクを着けているのは苦しくなります。ならば、授業中子どもたちに話をする際にはフェイスシールドをつけるようにしたらどうだろうなどと考えています。フェイスシールドならば、マスクより蒸れは少ないだろうし、子どもたちに対して口元もよく見えていいかもしれないなどと考えています。
保護者向けの話
昨日(6月10日)のテレビで、東海地方は梅雨入りしたと報道していました。いよいよ暑い夏が始まります。私たちは、新型コロナウイルス感染症予防に加えて、熱中症予防についてもしっかりと対策を取っていく必要があります。
先日(6月1日)、「コロナ禍における熱中症予防行動のあり方について」というおたよりを保護者の皆様にお届けしました。本校としての対応方針をお示ししたつもりですが、その後も「これだけで十分な対策と言えるのか」と常に自問自答していました。
そんな時、ふと私の脳裏に「子どもたちの水筒にお茶の補給はできないだろうか」との考えが浮かびました。その理由は幾つかあります。子どもたちの水筒の中のお茶は午前中の早い時間に無くなってしまう、水道水を飲むことを嫌う子も多いと聞く、今年度は8月初旬まで長時間かけて登下校をしなければならない、マスク着用によりのどの渇きを感じにくくなるため例年以上に脱水症状のリスクは高くなる、炎天下での下校時に水分補給できないという状況は避けたい…などです。
幸いにして本校は自校給食であるため給食調理員の手を借りることができることや小規模校であることなどのメリットもあります。私は、意をけっして、関係職員に「コロナ禍における熱中症予防対策の一つとして・・」と今年度限りであることを前置きしたうえで相談しました。
子どもたちへの指導、お茶をつくる手間、費用・・など課題をあげればきりがありません。しかし、職員の中から誰一人異を唱える者はいませんでした。給食調理員からは「子どもたちの健康と安全を守るためならば、私たちはしっかりやります。ただし、地産地消に取り組んでいる本校としては地元業者からお茶を購入してほしい。」との力強い言葉と要望を聴くことができました。子どもたちへの指導に関して、早速、教頭を中心に教務主任や学年団主任などで「密を作らずに、効率的に補給できるためにどうすべきか」を話し合ってくれていました。事務室では、お茶をはじめ必要物品の購入の算段を整え始めてくれました。教頭からPTA会長に「お茶の費用についてPTA会計予算の中から出させてほしい」と相談したところ快諾していただきました。
夏の暑さが本格化する前に、子どもたちの水筒にお茶を補給する体制を整える事が出来そうです。本校職員の強みは、子どもたち一人ひとりのことをしっかり考えようとする愛情の深さと、目の前の課題を正面から解決しようとする前向きさにあると感じています。心強い限りです。
子どもたちへのお話
今年度、初めての避難訓練を行いました。今日(6月2日)は、地震が発生した時にどこを通ってどこに逃げればよいのかを子どもたち1人1人がしっかりと認識することが目的です。訓練の終わりに全校放送で話した内容を掲載します。
地震はいつやってくるのか、そんなことは誰にも分かりません。休み時間にトイレに行っている時に突然やってくるかもしれません。もしもトイレで1人きりの時に地震が来たら、みんなはどうしますか?先生や友達がいる教室まで戻りますか?
2011年3月11日午後2時46分、東日本大震災が起こりました。この時は、地震の後に大きな津波が起こったため、大変多くの人が犠牲になりました。子どもも先生もほとんど流されてしまった学校がありました。一方で、ほぼ全員が助かった学校もありました。この違いは何だと思いますか?
答えは簡単です。逃げたかどうかの違いです。助からなかった学校では先生も子どものどこに逃げていいか分からずじっと運動場にとどまっていました。一方で助かった学校では各自逃げられるところまで逃げたのです。だから、先程の私の問いに「教室まで戻る」と答えた子は間違いだということです。トイレのスリッパのままでいいから運動場まで一気に走るというのが正解です。東日本大震災で助かった地域の言い伝えで『いのちてんでんこ』というものがあります。「津波が来たら、家族がてんでバラバラでもとにかく逃げろ」という教訓だそうです。
ぜひ、今日の訓練で確認してほしかったのは、地震が起きたらどこを通ってどうやって逃げるかということなのです。そして、もしも1人きりのときに地震が起きてもどんどん逃げることができる子になってほしいと願っています。
家にいるときに地震が起きたらどこを通ってどこに逃げるのかも知っておく必要があります。だから、「地震が起きたらどうするか」を家族でよく話し合っておくことが大切です。
さらに高学年の子にはもう一つ願いがあります。それは、「守られる側ではなく、守る側になってほしい」ということです。自分より弱い立場にある幼稚園や低学年の子、高齢者を連れて逃げることができる人になってほしいということです。
では、この後、今日の避難訓練を通して感じたことなどをもとに学級で話し合ってみましょう。以上で、私の話を終わります。
保護者向けの話
前回、日課表における工夫として、60分授業、ファミリータイム についてご説明しました。今回は、火曜日6校時を「補充・発展学習」の時間と位置づけたことについて知っていただきたいと思っています。
1 はじめに
子どもたちは、自身の成長を心から願っています。しかし、発達や学習内容の理解のスピードは個々に違いがあります。
学習の理解度が早く、ある事象に興味関心をもった子どもたちは、「もっと調べてみたい、勉強してみたい」と思っても、次から次へとお膳立てされた日課をこなし、それが終わると安全上の配慮から下校をせかされ、そのうちに、いつの間にか膨らんだ学習への探究心はしぼんでしまうなどということもあるでしょう。一方で、授業だけではしっかりと理解することができず、「できるようになりたい」「分かるようになりたい」と中途半端な思いを抱きながら下校する子どももいるはずです。
そこで、理解がゆっくりな子どもには、個別で学習する環境を用意することで、「自分にもできるんだ」という自信を生み出し、学習に向かう姿を育てたいと思います。加えて、授業だけでは物足りなさを感じている子どもには、さらなる発展的な学習の場を設け、学習欲を沸き立たせたいと思っています。
2 目的
すべての子どもに「分かる」「できる」思いを感じてもらえるよう、個に応じた学習支援を行い、基礎学力の確実な定着を図りたいと考えています。
加えて、授業において身に付けてきた基礎的・基本的な内容を基にして、より広げたり深めたりする発展的学習を行いたいと希望する子どもたちに対してもその場を提供することとしたいと考えています。
3 子どもの意欲を高めることについて
年度最初に、「補充・発展学習」に関するガイダンスを子どもたちにしっかり行うことで、何のためにこういったことを行うのか、どのように行うのかをしっかりと理解させていきます。さらに、あくまで参加の可否は子ども自身の希望であり、教師が無理強いするものではないとも考えています。
委員会やクラブと同じ時間に設定していますので、毎週必ず「補充・発展学習」ができるわけではありません。とりあえず、6月中旬ごろから、各学級担任がクラスの子どもたちの様子を見ながら順次実施していくこととなります。
4 安全上の配慮について
下校時刻にばらつきが生じることになりますが、子ども自身が保護者に下校時刻を予め伝えておくように指導しておくこととします。予め伝えていない子どもについては、残念ながら当該日の「補充・発展学習」には参加できないこととなりますが、親に心配をかけてはいけないことを教えるのも大事な教育だと考えます。さらに、補充・発展学習を行う子どもの下校時刻は午後3時25分とし、途中でばらばらと解散することは避けるとともに、地区ごとにまとまって下校するように指導していきたいと考えています。
保護者向けの話
今朝、とんぼランドの池にトンボが羽化する瞬間に遭遇することができました。平成15年当時、「トンボを学校のシンボルとし、子どもたちも教師もトンボに親しむ環境を」との強い思いから学校ぐるみで整備したビオトープで、まさにトンボの羽化を見ることができて特別の思いを抱きました。
平成31年度学校だより第6号を参照に)。2年間かけて、子どもたち自身が「やりたい」と言い出したことを最後まであきらめずに完成までこぎつけたところに、当時の向笠小の子どもたちの「たくましさ」を感じます。今の子どもたちにも、「やりたい」を「やり遂げる」ことができる機会を作っていきたいと考えています。
保護者向けの話
1 はじめに
今回の休校措置により、4月13日(月)以降、約135時間程度の授業時数が失われたことになります。一年の中でこれほどの多くの授業時数がなくなったという経験はかつてないことです。
授業時数が少なくなったことで、「あれができなくなった」「これはやめちゃえばいいや」と言うのは簡単なことかもしれませんが、私たちには決して「なくしてはならない」思いがあります。それは、「向笠小の子どもをこんなふうに育てたい」という強い思いで作り上げた本校の学校教育目標「瞳を輝かせ 最後までやり遂げる子」の具現化を図るということです。
2 学校の存在意義を高めるために
もしも教科書の内容を教え込む(詰め込む)だけの授業に切り替え、異学年交流もやめ、そば作りなど様々な体験活動もやめてしまえば、上述した失われた授業時間はすぐに取り戻せるのかもしれません。しかし、そんなことをしてしまえば、もはや学校ではなくなってしまいます。
学校の存在意義は、子ども同士・子どもと教師・子どもと様々な大人とのふれあいを通して考えを高め合うことや、様々な体験活動を通して人間的な成長を図ることなどにあると考えます。
3 じっくりと取り組める環境づくり
この一年は子どもたちにとってかけがえのないものであり無駄にしてはいけません。そのために、じっくりと対話活動や体験活動等に取り組める環境をもう一度整えることから始めます。具体的には、年度当初に予定していた授業時間数を確保し、年間を見通した行事計画を立て直すということです。
その方策の一つ目として、長期休業期間の短縮が挙げられます。夏休みは約3週間に短縮します(現在、8月5日~25日で検討しています)。冬休みや春休みも少しずつ短くします。二つ目は、土曜日の授業を設定します。既に習い事やスポーツ少年団等の活動が入っている子どももいると思いますが、市教委からの指針に沿って午前中3時間授業で5日程度を考えています。三つ目には必要に応じて日課表の中で授業時間を増やすことも考えています。例えば、これまで5時間授業だった日を6時間目まで行うといったことです。
4 新しい学びのスタイルの構築
休校期間中に、子どもたちが自宅で取り組んだ学びを生かした授業スタイルを構築していくことも考えています。これまで様々な形で子どもたちは予習に取り組んでくれています。自学自習の中で分からなかったことはこれからの授業において学習課題としてみんなで考えればいいし、深く調べたことはみんなに教えてあげられる時間を作っていければと考えています。
子どもたちに「これまでやってきたことは決して無駄ではなかった」と感じてもらえるような授業スタイルを全職員で話し合いながら構築していきます。
保護者向けの話
1 はじめに
これほど長い期間学校がお休みになるということは、誰しも経験したことがない一大事と言えるでしょう。新型コロナウイルス感染症から子どもたちのいのちを守るという観点でいえば今回の措置は妥当であると思っていますが、こんなに長い間、お休みが続いてしまうと、再開後に子どもたちはもとのように学校生活が送れるのだろうかと不安にもなります。
これまでの私の教職経験においても、夏休みを満喫しすぎた子どもが、2学期明けに朝起きることが難しい、授業への意欲が湧かない、学校のリズムに乗り切れないといった姿になることはよくあることでした。今回はいつもの夏休みの倍以上のお休み期間ですからいらぬ心配をしてしまいます。
そこで、学校再開に向けてこれまでの取組を一歩進めた形でのアプローチを考えています。ここでは、学校再開に向けた主な考え方を示すこととし、詳細については「第2号 学校だより.pdf」をご覧ください。
2 意欲をもって登校できるように
小中学生の不登校要因として「何らかの家庭環境に起因するもの」「学業成績に起因するもの」が大きな割合を占めることはよく知られていることです。前者は生活リズムの乱れ、家族間の不和等が挙げられます。後者は勉強についていけない、学習に対して自信がない等になります。なぜ最初からこのような極端な例を出したかというと、先に挙げたような要因をつぶしていけば子どもたちは意欲をもって登校しやすくなるとも言えるからです。
まず、家庭での生活リズムを整えるために、子どもたち自身が「日課表」を作成して、それに従って自律的な生活を送るように指導助言を行いたいと考えています。国語や算数等のいわゆる座学のみならず体育や音楽等も日課表に組み入れて自学自習を行う習慣を身につける機会になればと考えています。
一方、学習に対しての自信を高めるために、この休校期間にいわゆる「予習」を進めてもらおうと考えています。教科ごとに1時間ごとの学習課題を提示しますので、子どもたちは教科書やその他資料を参考にしてノートにまとめていくといったスタイルを主なものとしています。学校再開後の授業は、休校期間に各自取り組んだ学習の「復習」を行うということになります。こうすることで、休校期間に自学自習に取り組んだ成果を授業で発揮できるばかりか学習の定着度も高まり意欲をもって授業に取り組めるものと期待しています。
3 「うつさない」「うつらない」ように
新型コロナウイルスはいわば「見えざる敵」ですので、これをやれば完全にブロックできるというものはありません。しかし、考えうる限りの対策を講じることで、子どもたちはもとより保護者の皆様にとっても安心できる環境を整えていきたいと考えています。
(1)「うつさない」ために
これまで感染予防のために取り組んできたことに関しては学校再開後も積極的に継続します。子どもたちのみならず職員や来校者全員にもマスク着用を徹底します。給食も対面にならないように座席の工夫をします。授業での対話活動は空き教室も活用しながら子ども同士の距離を保つ工夫をします。教師が目の前にいなくても子どもたち同士で学習を進めることができるようにする良い機会にしたいと思います。加えて、子どもたちの下校後は、校内の消毒も職員で実施します。
(2)「うつらない」ために
各学級において「うつらない」ための行動はどうあるべきかを考える時間を設けたいと考えています。今こそ、自分の身は自分で守るといった意識を高めるチャンスです。ただし、このことは学校だけで完結できるものではありません。家庭での取組も大事になります。お父さんやお母さんが「うつらない」「うつさない」ための取組を家庭の中で率先して実施していただくことで、子どもたちはそのことを良い手本とするでしょう。
4 おわりに
軽い冗談のつもりで、「学校が休校になったら先生は暇になっていいね」などと言われる方もいます。ところがどっこい、手前みそになりますが、うちの学校の先生たちは、「一人ひとりの子どもたちに私たちは何ができるだろう」と考え、本当によく頑張っています。学年団で話し合って、学習計画を立て、課題をはじめワークシートなどを作成しています。さらに、学校再開に向けて様々なアイディアを出してくれています。保護者の皆様におかれましても何か不安なことや心配なことなどありましたら、ぜひ学級担任に話をしてみてください。「子どもたちの笑顔のために」という思いは同じです。
最後にもう一言だけ・・。先にも述べましたが、学校では考えうる限りの対策を講じていきますし、保護者の皆様においてもしっかりした取組(子どもたちへの助言等も含め)を行っていただいているものと思います。しかし、絶対に安全とは言い切れないし、誰がいつ感染してもおかしくありません。だからこそ、差別や偏見を生まない学校風土を目指していきたいとも思っています。
保護者向けの話
次に、子どもの自尊心にとって、親の自尊心の高さは影響を及ぼすものでしょうか。
分析の結果、家族のあり方について子どもが高く評価しており、なおかつ両親の自尊心がともに高いことが最も子どもの自尊心を高めることにつながることが分かりました。さらに、両親の自尊心がともに高いことは親密な家族内交流を促進し、このことが子どもの自尊心を高めるといった間接的影響も示されました。
しかし、親の自尊心と子どもの自尊心の関係では、両親の自尊心がともに高い群と母親の自尊心のみ高い群の差はあまりありませんでした。これは、両親の自尊心がともに高いことが子どもの自尊心を高めるうえで最も望ましいのですが、母親の自尊心が低くなければ子どもの自尊心はそれほど低減しないことを示しています。
そこで、さらに分析を進めていくと、父親の役割として次の2つのことが見えてきました。一つ目として母親(妻)に心のゆとりを与える父親(夫)の役割の重要性です。母親が子どもとじっくり向きあえる時間的精神的余裕がある時にはじめて心の内面である親の自尊心が子どもに影響を与えることができるのではないかと考えられます。二つ目は、父親の家族全体を見つめる姿勢の大切さです。父親は母親と比べると直接的に子どもとかかわる時間は短いため、母親ほどは子どもの自尊心に大きな影響を及ぼすことはないかもしれませんが、常に家族全体を見つめ、家族のまとまりや家族内のほっとできる雰囲気や横のつながりを気にかける姿こそが子どもの自尊心を高めることにつながると考えられます。
以上が研究結果の一部になります。統計分析の結果から私自身が考察した部分もあり、論が飛躍していると感じられる箇所もあるかもしれません。「なるほど」と思う部分だけ参考にしていただき、あとは読み飛ばしていただければ幸いです。これまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
保護者向けの話
まず初めに言葉の定義から始めます。自尊心の高さを「他の人からの目をあまり気にせず、自信をもって社会の中でふるまうことができるかどうか」と捉えています。
さらに、家族のあり方を測る因子として、家族に対する評価と凝集性(家族に対する満足度とうまくまとまっている)・家族内ルール(役割がありルールを守る)、家族内コミュニケーション(家族内で自由に話ができ、親密な交流ができる)、家族の柔軟性(家族内の問題に対してお互いに柔軟に対処している)の4つから成り立っています。
主な研究を始める前に、子どもの自尊心について、性別・家族形態別・出生別の平均値比較を行ってみました。
その結果、男子群の平均が女子群の平均より高くなったほかは、家族形態別(一人親家庭・核家族・拡大家族)、出生別における大きな差はありませんでした。
次に子どもの自尊心と家族のあり方との相関を見てみました。上記に示した「家族に対する評価と凝集性」「家族内ルール」「家族内コミュニケーション」「家族の柔軟性」とも子どもの自尊心と相関があることが分かりました。
ここまでは容易に予想できると思うのですが、ではこの4つの中で子どもの自尊心と最も高い正の相関関係を示したのはどれだと思いますか?
正解は、「家族の柔軟性」なんです。つまり、子どもがやろうとしていることに対して家族は邪魔していないか(子どもの考えを尊重しているか)、誰かひとりで家族内のことを決定していないか、家族全員で話し合って問題解決しようとしているか、家族内の諸問題に対して家族が敏感に反応しすぎて親が過干渉になったり慌てたりすることはないかといったことが何より小学校6年生の子どもたちの自尊心に影響を及ぼすということが分かったのです。(次に続く)
保護者向けの話
「子どもの自尊心に家族のあり方はどのように影響を及ぼすのだろうか。さらには子どもの自尊心と親の自尊心とは何らかの関係があるのだろうか。」
今から約20年前、私は大学院に派遣していただき、2年間の研究生活をさせていただく機会に恵まれました。学級担任として保護者から子育てに関する相談を受けることも多い中、自身の経験則の中での考えを述べるしかできなかった当時の私は、いつも申し訳ないなあと思っていたので、この機会に上記のテーマについて研究を深めることとしました。
今回の新型コロナウイルスの影響により休校が続き、親子で過ごす時間もこれまで以上に増えていることと思います。学級担任と保護者や子どもたちとの電話のやり取り等から、子どもたちは比較的落ち着いた生活を過ごしていると感じており、これもひとえに保護者の皆様のご努力の賜物であると感じています。
こういった時だからこそ、私がかつて情熱を注いだ研究も、保護者の皆様に何らかのお役に立てるのではないかと思い、ホームページに概要を掲載することとしました。
この時の研究は、静岡県内の小学6年生とその親788家族の協力(男子422名 女子366名 父親670名 母親720名)をいただき、主に質問紙法(アンケート調査)による分析を中心に行いました。父親の平均年齢43.29歳、母親の平均年齢40.08歳となっています。
なぜ小学校6年生なのか。それは、多くの先行研究において、小学校6年生の自尊心が他学年の子どもに比べ低いことや、小学校3年生で最も高くあとは6年生まで漸次低下すること、さらにはこの傾向は女子において顕著であることなどが多く明らかになっていたからです。(次に続く)