校長室から

子どもの自尊心を高めるには(校長の独り言)③

2020年4月27日 16時25分
保護者向けの話

 次に、子どもの自尊心にとって、親の自尊心の高さは影響を及ぼすものでしょうか。
 分析の結果、家族のあり方について子どもが高く評価しており、なおかつ両親の自尊心がともに高いことが最も子どもの自尊心を高めることにつながることが分かりました。さらに、両親の自尊心がともに高いことは親密な家族内交流を促進し、このことが子どもの自尊心を高めるといった間接的影響も示されました。
 
 しかし、親の自尊心と子どもの自尊心の関係では、両親の自尊心がともに高い群と母親の自尊心のみ高い群の差はあまりありませんでした。これは、両親の自尊心がともに高いことが子どもの自尊心を高めるうえで最も望ましいのですが、母親の自尊心が低くなければ子どもの自尊心はそれほど低減しないことを示しています。

 そこで、さらに分析を進めていくと、父親の役割として次の2つのことが見えてきました。一つ目として母親(妻)に心のゆとりを与える父親(夫)の役割の重要性です。母親が子どもとじっくり向きあえる時間的精神的余裕がある時にはじめて心の内面である親の自尊心が子どもに影響を与えることができるのではないかと考えられます。二つ目は、父親の家族全体を見つめる姿勢の大切さです。父親は母親と比べると直接的に子どもとかかわる時間は短いため、母親ほどは子どもの自尊心に大きな影響を及ぼすことはないかもしれませんが、常に家族全体を見つめ、家族のまとまりや家族内のほっとできる雰囲気や横のつながりを気にかける姿こそが子どもの自尊心を高めることにつながると考えられます。


 以上が研究結果の一部になります。統計分析の結果から私自身が考察した部分もあり、論が飛躍していると感じられる箇所もあるかもしれません。「なるほど」と思う部分だけ参考にしていただき、あとは読み飛ばしていただければ幸いです。これまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

子どもの自尊心を高めるには(校長の独り言)②

2020年4月27日 16時23分
保護者向けの話

 まず初めに言葉の定義から始めます。自尊心の高さを「他の人からの目をあまり気にせず、自信をもって社会の中でふるまうことができるかどうか」と捉えています。
さらに、家族のあり方を測る因子として、家族に対する評価と凝集性(家族に対する満足度とうまくまとまっている)・家族内ルール(役割がありルールを守る)、家族内コミュニケーション(家族内で自由に話ができ、親密な交流ができる)、家族の柔軟性(家族内の問題に対してお互いに柔軟に対処している)の4つから成り立っています。


 主な研究を始める前に、子どもの自尊心について、性別・家族形態別・出生別の平均値比較を行ってみました。
 その結果、男子群の平均が女子群の平均より高くなったほかは、家族形態別(一人親家庭・核家族・拡大家族)、出生別における大きな差はありませんでした。


 次に子どもの自尊心と家族のあり方との相関を見てみました。上記に示した「家族に対する評価と凝集性」「家族内ルール」「家族内コミュニケーション」「家族の柔軟性」とも子どもの自尊心と相関があることが分かりました。
 ここまでは容易に予想できると思うのですが、ではこの4つの中で子どもの自尊心と最も高い正の相関関係を示したのはどれだと思いますか?

 正解は、「家族の柔軟性」なんです。つまり、子どもがやろうとしていることに対して家族は邪魔していないか(子どもの考えを尊重しているか)、誰かひとりで家族内のことを決定していないか、家族全員で話し合って問題解決しようとしているか、家族内の諸問題に対して家族が敏感に反応しすぎて親が過干渉になったり慌てたりすることはないかといったことが何より小学校6年生の子どもたちの自尊心に影響を及ぼすということが分かったのです。(次に続く)

子どもの自尊心を高めるには(校長の独り言)①

2020年4月27日 16時19分
保護者向けの話

 「子どもの自尊心に家族のあり方はどのように影響を及ぼすのだろうか。さらには子どもの自尊心と親の自尊心とは何らかの関係があるのだろうか。」

 今から約20年前、私は大学院に派遣していただき、2年間の研究生活をさせていただく機会に恵まれました。学級担任として保護者から子育てに関する相談を受けることも多い中、自身の経験則の中での考えを述べるしかできなかった当時の私は、いつも申し訳ないなあと思っていたので、この機会に上記のテーマについて研究を深めることとしました。
 
 今回の新型コロナウイルスの影響により休校が続き、親子で過ごす時間もこれまで以上に増えていることと思います。学級担任と保護者や子どもたちとの電話のやり取り等から、子どもたちは比較的落ち着いた生活を過ごしていると感じており、これもひとえに保護者の皆様のご努力の賜物であると感じています。
 こういった時だからこそ、私がかつて情熱を注いだ研究も、保護者の皆様に何らかのお役に立てるのではないかと思い、ホームページに概要を掲載することとしました。


 この時の研究は、静岡県内の小学6年生とその親788家族の協力(男子422名 女子366名 父親670名 母親720名)をいただき、主に質問紙法(アンケート調査)による分析を中心に行いました。父親の平均年齢43.29歳、母親の平均年齢40.08歳となっています。
 なぜ小学校6年生なのか。それは、多くの先行研究において、小学校6年生の自尊心が他学年の子どもに比べ低いことや、小学校3年生で最も高くあとは6年生まで漸次低下すること、さらにはこの傾向は女子において顕著であることなどが多く明らかになっていたからです。(次に続く)

「自分から」をキーワードに~始業式での校長の話

2020年4月7日 15時49分
子どもたちへのお話

 コロナウイルスに感染することを防ぐため、体育館でみんなで集まる時間はなるべく少なくしようということで、私の話は放送で聴いてもらうこととしました。

  さて、午前中の入学式で新1年生22名が入学し、全校で146名の子どもたちが、本校でともに学ぶことになります。
 3月4日(水)以降休校となっていたため、春休みを含め、35日ぶりに皆さんと会うことになります。久しぶりに登校した子も多く、まだ何となくリズムがつかめない子もいるかもしれません。中には、3学期の最後に急なお休みに入ってしまったため、学習面を含め、不安や心配な気持ちを抱いている子もいるかもしれません。そんな子は、遠慮せずに担任の先生に言ってください。146名全員が希望と期待をもって新年度を迎えられるよう、努力していきます。


 私たちは皆さんがコロナウイルスのことなど一瞬でも忘れてしまうぐらい心から楽しいと思える学校生活を送れるといいなと思っています。それは、例えば友達同士で笑顔で遊べる時かもしれないし、授業等でできないことができるようになったり、分からないことが分かるようになったりした時かもしれません。さらには、行事等でみんなが「やりたい」と思ったことが実現できたときかもしれません。でも、こういった思いを味わうためには、先生たちだけが頑張っても味わえるものではありません。


 そこで1学期、みんなに期待する姿として「自分から」という言葉をキーワードとして挙げておきます。誰かの後をついていくだけであったり、先生の言うことを聞くだけであったりすると、決して楽しい思いはできません。自分から先生や友達に挨拶したり声を掛けたりする、授業中自分から発表したり「分かりません」って言ったりする、困っている人がいたら自分から手を差し伸べる、ゴミが落ちていたら自分から進んで拾う・・など勇気を出して行動に表すことで、本当の楽しさが味わえると思います。


 みんなが自分から取り組む姿を、私たちは応援します。失敗なんかおそれることはありません。勇気を出してまず行動に表す、それでもうまくいかなかったら、そのときは先生たちが助けます。この1年間、一緒に頑張りましょう。なお、次回からの会礼では、みんなの「自分から」何かに取り組む、そんなすばらしい行動を幾つか紹介できればと考えています。
 以上、1学期を始めるにあたり、私からの挨拶とさせていただきます。

 この写真は、新任式での様子です。子どもたちはマスクを着用し、一人一人の間隔もかなり広げて座りました。体育館内も窓を開けて換気して行いました。

楽しくなれる・優しくなれる・元気になれる~入学式での校長式辞から

2020年4月7日 15時10分
子どもたちへのお話

 本日入学した22名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。 桜の花も頑張って、皆さんを迎えてくれました。 皆さんは今日から、140年を超える伝統ある向笠小学校の仲間になりました。私たちは、皆さんの入学を首を長くして待っていました。

 さて、早速ですが、私から皆さんに質問します。「向笠小学校に入学することを楽しみにしていた人」は手を挙げてください。では、学校に来るとどんないいことがあると思いますか?

 私が考える「学校に来るとこんないいことがある」は次の三つです。
 一つ目は「楽しくなれる」ということです。 分からないことが分かるようになる、できなかったことができるようになるのはとても楽しいことです。ぜひ楽しんで勉強してくださいね。
 二つ目は「やさしくなれる」ということです。この学校では、クラスのお友達だけじゃなく、上級生のお兄さんやお姉さんとかかわることも多いです。多くの人とかかわると、どんなことをしたら相手は喜び、どんなことをしたら相手は嫌がるのかを知ることができ、優しくなれます。
 三つ目は「元気になれる」ことです。学校は教室の中で勉強するだけではありません。運動場や体育館で運動することもあるし、時には学校を飛び出して街の中をいろいろと歩き回ることもあります。そうすることで、心も体も元気になっていきます。
どうですか?学校っていいところでしょう。でも、一つだけ守ってほしいことがあります。先生が言ってくれるのを待っているだけでなく、「自分から」やりたいことをみつけ、進んで行動することです。できそうですか?


 ここで、お父さんやお母さんに、お話をしますので、少しの間、待っていてくださいね。保護者の皆様、本日はお子様のご入学、誠におめでとうございます。私たち向笠小学校の教職員一同はすべての子どもたちを全力で愛し、一人一人をかけがえのない存在として大切に育てていきます。そして、学校教育目標「瞳を輝かせ、最後までやり遂げる子」の具現化に向けて、精一杯努力していく所存でございます。保護者の皆様には、入学説明会の折にもお願いをさせていただきましたが、ぜひ子どもたちに「朝の力」を付けてあげてほしいと願っています。「朝早く起きる」「朝ご飯をしっかり食べる」「朝の挨拶をする」の3つです。学校の教育は家庭での教育や地域での教育なくして成立することはできません。六年間という長い月日においては、照る日曇る日さまざまですが、いつの時でも、お子様の健やかな成長を願う心は、一つでございます。卒業の日まで、変わらずご理解・ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 結びになりますが、本日は、磐田市長様、磐田市教育委員会学校教育課長様、本校PTA三役の皆さまにご出席いただき、このように入学式を挙行できますことはこの上ない喜びであります。私たち教職員一同は、一人の子どもも一人ぼっちにしないという強い思いの下、すべての子どもの笑顔のために全力で取り組むことを本日ご出席いただいたすべての方々にお約束いたしますとともに、ぜひそれぞれのお立場から本校教育にお力添えをいただけますようお願い申し上げ、式辞といたします。

(磐田市長はじめ来賓の皆様)

(入学式での1年生の様子)

「愛する」ことと「勇気を持つ」こと~卒業式 校長式辞

2020年3月19日 10時58分
子どもたちへのお話

 向笠小学校令和元年度卒業生として本校を巣立つ28名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。本日の卒業証書授与式は、感染症予防の観点から規模の縮小など余儀なくされた状況ではありますが、できうる限り心のこもった式にしたいと考えております。そのような中、磐田市教育委員会学校教育課増田晃育成指導主事様、本校PTA三役並びに保護者の方々にはご臨席を賜り、誠にありがとうございます。卒業生、教職員とともに、心からお礼申し上げます。


 只今、皆さんにお渡ししました卒業証書は、六年間いろいろな困難を乗り越え、頑張ってきた証です。私は、この一年間、皆さんを見てきて「さすが6年生だなあ」と感心することがたくさんありました。毎日の集団登校、ファミリー掃除やファミリー遊びの時などに下級生に寄せる「優しい顔」、サッカーやラグビー観戦での応援、水泳大会や陸上大会などどんな時も手を抜かないいざという時の「真剣な顔」、授業での話し合い活動や昼休みの学級遊びなど友達と一緒にとことん楽しもうとする「きらきら輝いた顔」、そういった顔を見せながら、向笠小学校のリーダーとして立派にその役目を果たしました。


 さて、中学生になってもしっかり頑張ってほしいという願いも込めて、私から二つの言葉を贈ります。
 一つ目は、「愛する」ということです。ここで私の好きな詩人のひとりである吉野弘さんが自分の娘さんに送った「奈々子へ」という詩の一節を紹介します。


お父さんが お前にあげたいものは 健康と 自分を愛する心だ。
ひとが ひとでなくなるのは 自分を愛することをやめるときだ。
自分を愛することをやめるとき ひとは 他人を愛することをやめ
世界を見失ってしまう。
自分があるとき 他人があり 世界がある。


 どうですか。まず、自分の強みを見つめ、自分自身を愛することから始めてください。自分を愛することができる人は、自分以外の人や生き物の痛みが分かり、自分と考えが違う人のことも許し受け入れることができると思います。なお、全編については本日お配りしたしおりに載せてありますので、後で見てください。


 二つ目に「勇気を持つ」ということです。
 リトルグリーモンスターが歌う「ラブ・ユアセルフ」という歌詞の中にも、

道に迷って 誰かの後をついていきながら
 “自分がない”と呟いた
いつでも 自分が向いている方が 前だと信じて
 “自分がいい”と思う方に進んでいたい 


という言葉があります。これから皆さんが歩む人生は、未知のものであり、望むことや願うことの達成は簡単なことではないかもしれません。時として不安になったり、おそれを感じたり、途方に暮れてしまったりすることもあるかもしれません。それでも勇気をもって、ほんの小さな一歩でいいから歩み続ける人であってほしいと願っています。
 私は、たとえうまくいかなかったとしても、勇気をもって立ち向かった人にだけ得られるものがあると思っています。それは「人間の懐の深さ」「人間の大きさ」と呼ばれるものです。


 最後になりましたが、保護者の皆様におかれましては、高い所からではございますが、心よりお子様のご卒業をお祝い申し上げると共に、これまでの向笠小学校に対する温かくそして熱いご支援・ご協力に感謝し、心から厚く御礼申し上げます。結びになりますが、卒業生28名の前途に幸多かれとお祈りし、式辞といたします。



来年度の学校経営構想について(学校運営協議会で説明したこと)

2020年2月25日 09時23分
保護者向けの話

 磐田市学校運営協議会規則第8条に基づき、校長は、学校運営を行う際に、予め基本方針等について学校運営協議会の承認を得ることとされています。
 そこで、2月21日(金)に実施された第3回向笠小学校・向笠幼稚園運営協議会「向笠トンボの会」にて、校長から説明した内容を掲載します。
 なお、もう少し具体的な内容については、後日、学校だよりにてお伝えします。



 11月中旬からの約3か月間、全職員で協議を重ね、子ども(保護者)・職員・地域の3方よしの教育課程が組めたのではないかと考えています。

1 教育課程編成の重点
 何を念頭に置いて教育課程編成を行ったかですが、主に①本校の強みを生かす ②学習指導要領等喫緊の教育課題に対応できる ということです。
 本校の強みを生かすために、①子ども主体の教育の推進 ②異学年交流の機会のさらなる充実 ③地域を生かし地域貢献する意識を育てる のことの3つを考えました。
 さらに喫緊の教育課題に対応するため、子どもも教師も一つのことにじっくり取り組める環境づくりを掲げました。

2 学校教育目標について
 次に、学校教育目標についてですが、本年度までの約10年間「瞳 輝く子」としてきました。来年度からこれまで目指してきた姿をさらに進化させ、「瞳を輝かせ、最後までやり遂げる子」とし、「たくましさ」を目指す子ども像として加えました。

3 重点的な取組内容について
 さて、ここまでお話ししたことを具現化するための主な取組についてご説明します。時間の関係上、本年度との変更点等を中心にお話しします。
 まず、子ども主体の教育を推進するため、探究活動をこれまで以上に重視することに加え、上達することの喜びや学ぶことの楽しさを味わうことが主体的に学ぶ姿勢につながると考え、体育・音楽・学級づくりにおける外部講師を招聘します。
 次に異学年交流の機会として、週2回のファミリータイム、2学期に「ファミリーウォークラリー」を新たに入れ、1学期の「運動会」3学期の「かがやきフェスタ」とともに行事を通して異学年のかかわりを設けました(R2行事予定図.pdf参照)。さらに清掃だけでなく、給食も異学年で食べることとします。
 最後に、子どもも教師も一つのことにじっくり取り組める環境づくりとして、日課表の工夫を行い(R2日課表.pdf参照)、60分授業を週3回行います。主に、準備や片付けが必要な教科において、3分の1単位時間をうまく組み合わせることで、子どもの活動時間を十分に確保することとしました。さらに、火曜日6校時を「補充・発展学習」の時間と位置づけました。すべての子どもが最低規準の学習内容をマスターするために、「分からない」「できない」子どもを「分かる」「できる」状況まで高めるよう個に応じた学習支援を行うとともに、発展的学習を行いたいと希望する子どもたちに対してもその場を提供することとします。

5年生国語「すいせんします」スピーチを参観して(校長室から)

2020年2月18日 16時45分
子どもたちへのお話

 先日、5年生担任から私に「国語の授業で、自分が良いと思う人やものを他の人に推薦する文章を考え、最後はスピーチするということを行っています。ある男の子が校長先生を推薦したいと言っています。ついては、スピーチの際に使用する写真を撮りに行かせてもよいでしょうか。」という旨の話がありました。もちろん断る理由もなく、すぐに男の子がカメラを持って校長室に来ました。帰り際に「じゃあ、スピーチをやる日が決まったら教えてね。聴きに行くから。」とお願いしたら、「はい」と気持ちの良い返事をしてくれました。

 そのようなことがあり、本日(2月18日)の第5校時に、5年生の国語の授業を参観しました。私を推薦してくれた男の子の発表だけでなく、全員のスピーチをじっくりと聴かせてもらいました。これまで何時間もかけて準備したことがよく分かる、大変聴きごたえのあるものでした。
 まず「○○を推薦します」と結論を述べた後に、その理由を簡潔に2つから4つ程度にまとめて分かりやすく説明していました。推薦するものは様々で、本校職員や向笠小を推薦する子もいれば、スポーツ選手や好きな本、道具などを推薦する子もいました。推薦理由もどれも納得できるものばかりでした。さらに、理由を効果づけるために写真を利用したり、スピーチの最後に「皆さんも○○してみませんか」と聴き手を引き込む工夫をしたりしていました。
 スピーチを聴く態度もすばらしく、話しやすい雰囲気を醸し出しており、子どもたちの成長を感じることができました。






 
 最後に私を推薦してくれた男の子は、その推薦理由を「毎朝、掃除をしながら挨拶をしてくれる。明るく面白い。低学年と遊んで優しい。」と言ってくれました。気恥ずかしい思いをしましたが、いくつになっても褒められるというのは悪い気はしないものです。私を推薦してくれた男の子がいたことも嬉しかったですし、全員の質の高いスピーチを聴く時間はとても心地よいものでした。

微力だけど無力じゃない(会礼での校長の話)

2020年2月10日 15時05分
子どもたちへのお話

 今日は、みんなに紹介したいことが2つあります。
 1つ目は、先日の始業式で、私は皆さんに「こんなことをやりたい、こんな学校にしたいというアイディアを思いついたら校長室に教えに来てください。」と投げかけました。そうしたところ、2年生の3人の女の子が実際に校長室にお話しをしに来てくれました。
 「いい学校にする」ということを、他人事ではなく、自分事としてとらえてくれた3人のことを頼もしく思いました。だから私は、この3人との話し合いがとても楽しく、そして嬉しくもありました。


 2つ目は、1月28日に行われた新入学児童のための体験入学でのことです。入学説明会が終わり、私は校長室で1人座っていると、教頭先生が「ちょっと聞いてください」と言いながら校長室に入ってこられたのです。何かあったのかなと思ったら、5年生の皆さんについてのことでした。
 教頭先生の言葉を借りると、「私は5年生には一切指示などしていない。でも5年生のみんなは、自分がすべきことをちゃんと考えて動けていた。さらに、入学予定の子どもたちにかける声や表情が本当に優しかった。向笠小の高学年として頼もしく感じた。」というものでした。
 私もこのお話を聴いてとても嬉しくなりました。5年生のみんなが心を込めてやってくれたことは、きっと入学予定の子どもたちに「向笠小学校っていい学校だな。学校も楽しそうだな。」と思ってもらえたのではないかと思います。


 さて皆さんは、「微力だけど無力じゃない」という言葉を知っていますか。これは、長崎を中心に平和な世界の実現を訴えている高校生が活動を行う際の合い言葉だということです。
 高校生である自分たちにもできることはあるはずだ、それは小さなこと(微力)かもしれないけど、何もできない(無力)なんてことはないという意味です。
 誰かが何かをやってくれるのを期待して、その期待通りにやってくれないと、「○○が悪い」「○○のせいだ」と文句を言うのは、実に簡単です。でも、文句を言うエネルギーがあるのなら、それを「自分にできることはきっとあるはずだ」と考え行動する方に向けるほうが楽しいですよね。

 皆さんは、決して無力なんかじゃありません。私が皆さんに求めるのは、行動を起こさずにぶつぶつ文句ばかり言うことじゃありませんし、誰かに指示されるのを待つだけの姿でもありません。自分ができることは何かを考えて、ほんの少しでもいいからみんなのために行動する、今日紹介したような姿です。


入学説明会での校長挨拶

2020年1月28日 15時19分
保護者向けの話

 みなさんこんにちは。向笠小学校校長の佐伯泰司と申します。本日はご多用の中、令和2年度入学説明会においでいただきありがとうございます。4月から私たちと皆さんとは「大切なお子さんを育てる」という同じ目標をもった、いわば「同志」であると言えます。ぜひ、お互いにコミュニケーションを密に取り合い、お互いを尊重しあいながら「子どもたちの笑顔、そして幸せ」のために、ともに頑張っていければと思っています。
 
 まず、4月からお子さんが通うことになる向笠小学校のことを、少しお話しさせていただきます。入学予定児童21名を加え全校児童は145名になります。卒業までに目指す子ども像として①自らを進んで伸ばそうとする「自主」②友達の個性や価値に気づき、子どもたち自身がより良い学級・学校を創っていこうとする「自治」③ふるさと向笠を愛し自らを取り巻く社会や環境をより良くしようと行動を起こす「貢献」に加え、どんなに難しいことがあっても根気強く取り組み、周りの人と一緒に課題を解決しようとする「たくましさ」の4つを考えています。

 こういった子どもに育てるために、私たちは本校の強みを生かした学校運営を進めていきたいと考えています。
 学校の強みの一つ目として、本校児童の良さを挙げたいと思います。力を抜いたり、ズルをしたりせず、ひたむきにやるべきことに向き合うことができると考えています。だから、私たちもこういった子どもたちの良さをもっと引き出すために、子どもたちの「やりたい」という気持ちを引き出し、その「やりたい」を実現させるための方法も子どもたち自身で考えるような機会をどんどん増やしていきたいと考えています。
 二つ目は、この学校は市内でも子どもの数が少ない、小さな学校であるということです。大きな学校には大きな学校の良さがあるように、向笠小学校のような小さな学校には小さな学校の良さがあると思うのです。その良さの一つとして、いろいろな学年の子と仲良くなる機会がほかの学校に比べて多いということです。例えば、低学年の子は高学年の子といっぱい活動する中で、大きくなったらこんなことができるようになろうって思えるでしょう。逆に高学年の子は、低学年に格好悪いところを見せられないっていつもより頑張るかもしれないし、低学年の子が困っていたら自然と手を差し伸べる優しさが身につくということもあるでしょう。だから、これからは今まで以上にいろいろな学年の子と活動する機会を増やしていきたいと考えています。
 三つ目は、この学校は地域とのつながりがとても強いということです。どの学年でも地域の作物を育てて、それを食べるという活動を行っています。この活動を行うには、地域の方々のサポートも受けています。このようなことができている学校は他にないと思います。さらに、毎日の登下校では、地域の方々が通学路に立って、みんなの安全を見守っています。だから、今後とも地域とのつながりを大切にした活動を行っていきたいと考えています。

 さて、ここまで学校側の思いをお話しさせていただきましたので、ここからは保護者の皆様へ幾つかのお願いをさせてください。就学時健診の折にもお話しさせていただきましたが、子どもたちに「朝の力」をしっかりつけておいてください。「朝早く起きる」「朝ごはんをしっかり食べる」「朝の挨拶をしっかりする」ことの3つです。生活習慣をしっかり整えて、学校でしっかり活動できる素地を作ってほしいということです。
 このことに加え、入学前に学校までの通学路を一緒に確認することをお願いします。親子で一緒に通学路を歩くことで、交通安全に対する意識が高まることはもとより、これから始まる学校生活への希望や期待が高まるかと思うのです。

 では、4月にお子さんが元気に入学してくることを心よりお待ちしております。子育ては不安と苦労の連続です。いつでも担任に、学校に相談していただければと思っていますし、私たちも困ったら保護者の皆様に相談させていただくこともあると思います。保護者と一緒に歩んでいく向笠小でありたいと思っています。