校長室から

楽しくなれる・優しくなれる・元気になれる~入学式での校長式辞から

2020年4月7日 15時10分
子どもたちへのお話

 本日入学した22名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。 桜の花も頑張って、皆さんを迎えてくれました。 皆さんは今日から、140年を超える伝統ある向笠小学校の仲間になりました。私たちは、皆さんの入学を首を長くして待っていました。

 さて、早速ですが、私から皆さんに質問します。「向笠小学校に入学することを楽しみにしていた人」は手を挙げてください。では、学校に来るとどんないいことがあると思いますか?

 私が考える「学校に来るとこんないいことがある」は次の三つです。
 一つ目は「楽しくなれる」ということです。 分からないことが分かるようになる、できなかったことができるようになるのはとても楽しいことです。ぜひ楽しんで勉強してくださいね。
 二つ目は「やさしくなれる」ということです。この学校では、クラスのお友達だけじゃなく、上級生のお兄さんやお姉さんとかかわることも多いです。多くの人とかかわると、どんなことをしたら相手は喜び、どんなことをしたら相手は嫌がるのかを知ることができ、優しくなれます。
 三つ目は「元気になれる」ことです。学校は教室の中で勉強するだけではありません。運動場や体育館で運動することもあるし、時には学校を飛び出して街の中をいろいろと歩き回ることもあります。そうすることで、心も体も元気になっていきます。
どうですか?学校っていいところでしょう。でも、一つだけ守ってほしいことがあります。先生が言ってくれるのを待っているだけでなく、「自分から」やりたいことをみつけ、進んで行動することです。できそうですか?


 ここで、お父さんやお母さんに、お話をしますので、少しの間、待っていてくださいね。保護者の皆様、本日はお子様のご入学、誠におめでとうございます。私たち向笠小学校の教職員一同はすべての子どもたちを全力で愛し、一人一人をかけがえのない存在として大切に育てていきます。そして、学校教育目標「瞳を輝かせ、最後までやり遂げる子」の具現化に向けて、精一杯努力していく所存でございます。保護者の皆様には、入学説明会の折にもお願いをさせていただきましたが、ぜひ子どもたちに「朝の力」を付けてあげてほしいと願っています。「朝早く起きる」「朝ご飯をしっかり食べる」「朝の挨拶をする」の3つです。学校の教育は家庭での教育や地域での教育なくして成立することはできません。六年間という長い月日においては、照る日曇る日さまざまですが、いつの時でも、お子様の健やかな成長を願う心は、一つでございます。卒業の日まで、変わらずご理解・ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 結びになりますが、本日は、磐田市長様、磐田市教育委員会学校教育課長様、本校PTA三役の皆さまにご出席いただき、このように入学式を挙行できますことはこの上ない喜びであります。私たち教職員一同は、一人の子どもも一人ぼっちにしないという強い思いの下、すべての子どもの笑顔のために全力で取り組むことを本日ご出席いただいたすべての方々にお約束いたしますとともに、ぜひそれぞれのお立場から本校教育にお力添えをいただけますようお願い申し上げ、式辞といたします。

(磐田市長はじめ来賓の皆様)

(入学式での1年生の様子)

「愛する」ことと「勇気を持つ」こと~卒業式 校長式辞

2020年3月19日 10時58分
子どもたちへのお話

 向笠小学校令和元年度卒業生として本校を巣立つ28名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。本日の卒業証書授与式は、感染症予防の観点から規模の縮小など余儀なくされた状況ではありますが、できうる限り心のこもった式にしたいと考えております。そのような中、磐田市教育委員会学校教育課増田晃育成指導主事様、本校PTA三役並びに保護者の方々にはご臨席を賜り、誠にありがとうございます。卒業生、教職員とともに、心からお礼申し上げます。


 只今、皆さんにお渡ししました卒業証書は、六年間いろいろな困難を乗り越え、頑張ってきた証です。私は、この一年間、皆さんを見てきて「さすが6年生だなあ」と感心することがたくさんありました。毎日の集団登校、ファミリー掃除やファミリー遊びの時などに下級生に寄せる「優しい顔」、サッカーやラグビー観戦での応援、水泳大会や陸上大会などどんな時も手を抜かないいざという時の「真剣な顔」、授業での話し合い活動や昼休みの学級遊びなど友達と一緒にとことん楽しもうとする「きらきら輝いた顔」、そういった顔を見せながら、向笠小学校のリーダーとして立派にその役目を果たしました。


 さて、中学生になってもしっかり頑張ってほしいという願いも込めて、私から二つの言葉を贈ります。
 一つ目は、「愛する」ということです。ここで私の好きな詩人のひとりである吉野弘さんが自分の娘さんに送った「奈々子へ」という詩の一節を紹介します。


お父さんが お前にあげたいものは 健康と 自分を愛する心だ。
ひとが ひとでなくなるのは 自分を愛することをやめるときだ。
自分を愛することをやめるとき ひとは 他人を愛することをやめ
世界を見失ってしまう。
自分があるとき 他人があり 世界がある。


 どうですか。まず、自分の強みを見つめ、自分自身を愛することから始めてください。自分を愛することができる人は、自分以外の人や生き物の痛みが分かり、自分と考えが違う人のことも許し受け入れることができると思います。なお、全編については本日お配りしたしおりに載せてありますので、後で見てください。


 二つ目に「勇気を持つ」ということです。
 リトルグリーモンスターが歌う「ラブ・ユアセルフ」という歌詞の中にも、

道に迷って 誰かの後をついていきながら
 “自分がない”と呟いた
いつでも 自分が向いている方が 前だと信じて
 “自分がいい”と思う方に進んでいたい 


という言葉があります。これから皆さんが歩む人生は、未知のものであり、望むことや願うことの達成は簡単なことではないかもしれません。時として不安になったり、おそれを感じたり、途方に暮れてしまったりすることもあるかもしれません。それでも勇気をもって、ほんの小さな一歩でいいから歩み続ける人であってほしいと願っています。
 私は、たとえうまくいかなかったとしても、勇気をもって立ち向かった人にだけ得られるものがあると思っています。それは「人間の懐の深さ」「人間の大きさ」と呼ばれるものです。


 最後になりましたが、保護者の皆様におかれましては、高い所からではございますが、心よりお子様のご卒業をお祝い申し上げると共に、これまでの向笠小学校に対する温かくそして熱いご支援・ご協力に感謝し、心から厚く御礼申し上げます。結びになりますが、卒業生28名の前途に幸多かれとお祈りし、式辞といたします。



来年度の学校経営構想について(学校運営協議会で説明したこと)

2020年2月25日 09時23分
保護者向けの話

 磐田市学校運営協議会規則第8条に基づき、校長は、学校運営を行う際に、予め基本方針等について学校運営協議会の承認を得ることとされています。
 そこで、2月21日(金)に実施された第3回向笠小学校・向笠幼稚園運営協議会「向笠トンボの会」にて、校長から説明した内容を掲載します。
 なお、もう少し具体的な内容については、後日、学校だよりにてお伝えします。



 11月中旬からの約3か月間、全職員で協議を重ね、子ども(保護者)・職員・地域の3方よしの教育課程が組めたのではないかと考えています。

1 教育課程編成の重点
 何を念頭に置いて教育課程編成を行ったかですが、主に①本校の強みを生かす ②学習指導要領等喫緊の教育課題に対応できる ということです。
 本校の強みを生かすために、①子ども主体の教育の推進 ②異学年交流の機会のさらなる充実 ③地域を生かし地域貢献する意識を育てる のことの3つを考えました。
 さらに喫緊の教育課題に対応するため、子どもも教師も一つのことにじっくり取り組める環境づくりを掲げました。

2 学校教育目標について
 次に、学校教育目標についてですが、本年度までの約10年間「瞳 輝く子」としてきました。来年度からこれまで目指してきた姿をさらに進化させ、「瞳を輝かせ、最後までやり遂げる子」とし、「たくましさ」を目指す子ども像として加えました。

3 重点的な取組内容について
 さて、ここまでお話ししたことを具現化するための主な取組についてご説明します。時間の関係上、本年度との変更点等を中心にお話しします。
 まず、子ども主体の教育を推進するため、探究活動をこれまで以上に重視することに加え、上達することの喜びや学ぶことの楽しさを味わうことが主体的に学ぶ姿勢につながると考え、体育・音楽・学級づくりにおける外部講師を招聘します。
 次に異学年交流の機会として、週2回のファミリータイム、2学期に「ファミリーウォークラリー」を新たに入れ、1学期の「運動会」3学期の「かがやきフェスタ」とともに行事を通して異学年のかかわりを設けました(R2行事予定図.pdf参照)。さらに清掃だけでなく、給食も異学年で食べることとします。
 最後に、子どもも教師も一つのことにじっくり取り組める環境づくりとして、日課表の工夫を行い(R2日課表.pdf参照)、60分授業を週3回行います。主に、準備や片付けが必要な教科において、3分の1単位時間をうまく組み合わせることで、子どもの活動時間を十分に確保することとしました。さらに、火曜日6校時を「補充・発展学習」の時間と位置づけました。すべての子どもが最低規準の学習内容をマスターするために、「分からない」「できない」子どもを「分かる」「できる」状況まで高めるよう個に応じた学習支援を行うとともに、発展的学習を行いたいと希望する子どもたちに対してもその場を提供することとします。

5年生国語「すいせんします」スピーチを参観して(校長室から)

2020年2月18日 16時45分
子どもたちへのお話

 先日、5年生担任から私に「国語の授業で、自分が良いと思う人やものを他の人に推薦する文章を考え、最後はスピーチするということを行っています。ある男の子が校長先生を推薦したいと言っています。ついては、スピーチの際に使用する写真を撮りに行かせてもよいでしょうか。」という旨の話がありました。もちろん断る理由もなく、すぐに男の子がカメラを持って校長室に来ました。帰り際に「じゃあ、スピーチをやる日が決まったら教えてね。聴きに行くから。」とお願いしたら、「はい」と気持ちの良い返事をしてくれました。

 そのようなことがあり、本日(2月18日)の第5校時に、5年生の国語の授業を参観しました。私を推薦してくれた男の子の発表だけでなく、全員のスピーチをじっくりと聴かせてもらいました。これまで何時間もかけて準備したことがよく分かる、大変聴きごたえのあるものでした。
 まず「○○を推薦します」と結論を述べた後に、その理由を簡潔に2つから4つ程度にまとめて分かりやすく説明していました。推薦するものは様々で、本校職員や向笠小を推薦する子もいれば、スポーツ選手や好きな本、道具などを推薦する子もいました。推薦理由もどれも納得できるものばかりでした。さらに、理由を効果づけるために写真を利用したり、スピーチの最後に「皆さんも○○してみませんか」と聴き手を引き込む工夫をしたりしていました。
 スピーチを聴く態度もすばらしく、話しやすい雰囲気を醸し出しており、子どもたちの成長を感じることができました。






 
 最後に私を推薦してくれた男の子は、その推薦理由を「毎朝、掃除をしながら挨拶をしてくれる。明るく面白い。低学年と遊んで優しい。」と言ってくれました。気恥ずかしい思いをしましたが、いくつになっても褒められるというのは悪い気はしないものです。私を推薦してくれた男の子がいたことも嬉しかったですし、全員の質の高いスピーチを聴く時間はとても心地よいものでした。

微力だけど無力じゃない(会礼での校長の話)

2020年2月10日 15時05分
子どもたちへのお話

 今日は、みんなに紹介したいことが2つあります。
 1つ目は、先日の始業式で、私は皆さんに「こんなことをやりたい、こんな学校にしたいというアイディアを思いついたら校長室に教えに来てください。」と投げかけました。そうしたところ、2年生の3人の女の子が実際に校長室にお話しをしに来てくれました。
 「いい学校にする」ということを、他人事ではなく、自分事としてとらえてくれた3人のことを頼もしく思いました。だから私は、この3人との話し合いがとても楽しく、そして嬉しくもありました。


 2つ目は、1月28日に行われた新入学児童のための体験入学でのことです。入学説明会が終わり、私は校長室で1人座っていると、教頭先生が「ちょっと聞いてください」と言いながら校長室に入ってこられたのです。何かあったのかなと思ったら、5年生の皆さんについてのことでした。
 教頭先生の言葉を借りると、「私は5年生には一切指示などしていない。でも5年生のみんなは、自分がすべきことをちゃんと考えて動けていた。さらに、入学予定の子どもたちにかける声や表情が本当に優しかった。向笠小の高学年として頼もしく感じた。」というものでした。
 私もこのお話を聴いてとても嬉しくなりました。5年生のみんなが心を込めてやってくれたことは、きっと入学予定の子どもたちに「向笠小学校っていい学校だな。学校も楽しそうだな。」と思ってもらえたのではないかと思います。


 さて皆さんは、「微力だけど無力じゃない」という言葉を知っていますか。これは、長崎を中心に平和な世界の実現を訴えている高校生が活動を行う際の合い言葉だということです。
 高校生である自分たちにもできることはあるはずだ、それは小さなこと(微力)かもしれないけど、何もできない(無力)なんてことはないという意味です。
 誰かが何かをやってくれるのを期待して、その期待通りにやってくれないと、「○○が悪い」「○○のせいだ」と文句を言うのは、実に簡単です。でも、文句を言うエネルギーがあるのなら、それを「自分にできることはきっとあるはずだ」と考え行動する方に向けるほうが楽しいですよね。

 皆さんは、決して無力なんかじゃありません。私が皆さんに求めるのは、行動を起こさずにぶつぶつ文句ばかり言うことじゃありませんし、誰かに指示されるのを待つだけの姿でもありません。自分ができることは何かを考えて、ほんの少しでもいいからみんなのために行動する、今日紹介したような姿です。


入学説明会での校長挨拶

2020年1月28日 15時19分
保護者向けの話

 みなさんこんにちは。向笠小学校校長の佐伯泰司と申します。本日はご多用の中、令和2年度入学説明会においでいただきありがとうございます。4月から私たちと皆さんとは「大切なお子さんを育てる」という同じ目標をもった、いわば「同志」であると言えます。ぜひ、お互いにコミュニケーションを密に取り合い、お互いを尊重しあいながら「子どもたちの笑顔、そして幸せ」のために、ともに頑張っていければと思っています。
 
 まず、4月からお子さんが通うことになる向笠小学校のことを、少しお話しさせていただきます。入学予定児童21名を加え全校児童は145名になります。卒業までに目指す子ども像として①自らを進んで伸ばそうとする「自主」②友達の個性や価値に気づき、子どもたち自身がより良い学級・学校を創っていこうとする「自治」③ふるさと向笠を愛し自らを取り巻く社会や環境をより良くしようと行動を起こす「貢献」に加え、どんなに難しいことがあっても根気強く取り組み、周りの人と一緒に課題を解決しようとする「たくましさ」の4つを考えています。

 こういった子どもに育てるために、私たちは本校の強みを生かした学校運営を進めていきたいと考えています。
 学校の強みの一つ目として、本校児童の良さを挙げたいと思います。力を抜いたり、ズルをしたりせず、ひたむきにやるべきことに向き合うことができると考えています。だから、私たちもこういった子どもたちの良さをもっと引き出すために、子どもたちの「やりたい」という気持ちを引き出し、その「やりたい」を実現させるための方法も子どもたち自身で考えるような機会をどんどん増やしていきたいと考えています。
 二つ目は、この学校は市内でも子どもの数が少ない、小さな学校であるということです。大きな学校には大きな学校の良さがあるように、向笠小学校のような小さな学校には小さな学校の良さがあると思うのです。その良さの一つとして、いろいろな学年の子と仲良くなる機会がほかの学校に比べて多いということです。例えば、低学年の子は高学年の子といっぱい活動する中で、大きくなったらこんなことができるようになろうって思えるでしょう。逆に高学年の子は、低学年に格好悪いところを見せられないっていつもより頑張るかもしれないし、低学年の子が困っていたら自然と手を差し伸べる優しさが身につくということもあるでしょう。だから、これからは今まで以上にいろいろな学年の子と活動する機会を増やしていきたいと考えています。
 三つ目は、この学校は地域とのつながりがとても強いということです。どの学年でも地域の作物を育てて、それを食べるという活動を行っています。この活動を行うには、地域の方々のサポートも受けています。このようなことができている学校は他にないと思います。さらに、毎日の登下校では、地域の方々が通学路に立って、みんなの安全を見守っています。だから、今後とも地域とのつながりを大切にした活動を行っていきたいと考えています。

 さて、ここまで学校側の思いをお話しさせていただきましたので、ここからは保護者の皆様へ幾つかのお願いをさせてください。就学時健診の折にもお話しさせていただきましたが、子どもたちに「朝の力」をしっかりつけておいてください。「朝早く起きる」「朝ごはんをしっかり食べる」「朝の挨拶をしっかりする」ことの3つです。生活習慣をしっかり整えて、学校でしっかり活動できる素地を作ってほしいということです。
 このことに加え、入学前に学校までの通学路を一緒に確認することをお願いします。親子で一緒に通学路を歩くことで、交通安全に対する意識が高まることはもとより、これから始まる学校生活への希望や期待が高まるかと思うのです。

 では、4月にお子さんが元気に入学してくることを心よりお待ちしております。子育ては不安と苦労の連続です。いつでも担任に、学校に相談していただければと思っていますし、私たちも困ったら保護者の皆様に相談させていただくこともあると思います。保護者と一緒に歩んでいく向笠小でありたいと思っています。

向笠小学校の強みは何だろう(始業式での校長挨拶)

2020年1月7日 13時06分
子どもたちへのお話

 新年の挨拶をしたいと思います。「明けましておめでとうございます」。ここにいる全ての人にとって、良い一年になることを心から願っています。
 2学期の終業式の折にみんなに宿題を出しました。「他の人にはない自分の強みを探してみる」ということでした。見つけることはできましたか?そして、穏やかな良いお正月を過ごすことができましたか?
 
 私は、正月三が日の中で、学校に来ることがあったのですが、その時に偶然、校門の前で写真を撮っているご家族にお会いしました。聴くと、この4月に本校に入学してくる女の子がお父さん・お母さんと一緒に通学路を歩いてきたというのです。そのご家族の微笑ましい光景から、これから始まる学校生活にどれだけ希望と期待を抱いているかを知ることができましたし、私たち学校で働く者たちは、こういった思いに十分に応えられるように一層頑張らなければならないと強く感じました。
 
 終業式の時には、「学校がさらに良くなるために、まずこの学校の強み(他の学校にはない向笠小だけの良さ)は何かというところから考えてみた」ということをお話ししました。今日は、そのことを中心にお話をしようと思います。
 
 学校の強みの一つ目として、みんなのことを挙げたいと思います。それは、自分たちで「やろう」と決めたことは、一生懸命取り組むことです。力を抜いたり、ズルをしたりせず、ひたむきにやるべきことに向き合うことができます。持久走記録会や学習発表会、運動会等を見ていてそう感じました。このひたむきさは、他の学校にはないみんなの良さです。だから、先生たちもみんなの良さをもっと引き出すために、先生たちが何でも指示するのではなく、みんなの「やりたい」という気持ちを引き出し、その「やりたい」を実現させるための方法もみんな自身で考えるような機会をどんどん増やしていきたいと考えています。
 
 二つ目は、この学校は市内でも子どもの数が少ない、小さな学校であるということです。大きな学校には大きな学校の良さがあるように、向笠小学校のような小さな学校には小さな学校の良さがあると思うのです。その良さの一つとして、いろいろな学年の子と仲良くなる機会がほかの学校に比べて多いということです。例えば、低学年の子は高学年の子といっぱい活動する中で、大きくなったらこんなことができるようになろうって思えるでしょう。逆に高学年の子は、低学年に格好悪いところを見せられないっていつもより頑張るかもしれないし、低学年の子が困っていたら自然と手を差し伸べる優しさが身につくということもあるでしょう。だから、これからは今まで以上にいろいろな学年の子と活動する機会を増やしていきたいと考えています。学年掲示板を見ていると、5年生の山崎瑛子さんがすばらしい提案をしたノートのコピーが貼ってありました。それは、これからの社会をつくっていく私たちは、仲間と協力して未来を作っていかなければならない、そのためにも「他の学年の子との関わりを増やす」ことが必要だというのです。具体的には、学級遊びを他の学年と合同で行うということ、さらに仲の良い人を5人以上作るというものです。どうですか?こういったことなら、今からでもできそうではありませんか?
 
 三つ目は、この学校は地域とのつながりがとても強いということです。どの学年でも地域の作物を育てて、それを食べるという活動を行っています。この活動を行うには、地域の方々のサポートも受けています。このようなことができている学校は他にないと思います。さらに、毎日の登下校では、地域の方々が通学路に立って、みんなの安全を見守っています。だから、今後とも地域とのつながりを大切にした活動を行っていきたいと考えています。これについては、みんなにも考えてほしいことがあるのです。本校は、他の学校以上に多くの地域の方々のお世話になっていると思うのです。こうやって、お世話されるばかりでいいのでしょうか?自分たちで地域のためにできることはないでしょうか?これを難しい言葉で「地域への貢献」というのですが、貢献できそうなことを一つでも二つでも考えて取り組めるといいなと思っています。
 
 こうやって考えていくと、向笠小は無限の可能性を秘めたすばらしい学校だと思います。皆さんも「こんなことをやりたい」「こんな学校にしたい」というアイディアを思いついたら校長室に教えに来てください。一緒にいい学校にしていきましょう。これで、始業式のお話を終わります。

自分たちの「強み」を考える(終業式での校長の話)

2019年12月25日 10時20分
子どもたちへのお話

 本日は、寒さを緩和することやインフルエンザ等の感染拡大を防ぐことを鑑み、放送による終業式を行いました。各学年の代表児童のことばや、校長からの話について、子どもたちは各教室で放送を聴くようにしました。ここでは、校長の話を紹介します。

 2学期を振り返ってみると、みんな、本当によく頑張ったと思います。1・2年生はお店屋さんを作って幼稚園の子どもたちを招待し一緒に遊びました。さらに1年生は自分たちで育てたさつま芋を使って料理しましたし、2年生はグループで町探検を行いました。3・4年生は社会科見学を行い積極的に見たり聞いたりしました。さらに3年生はそばの実を育ててそば打ちまで行ったし、4年生は様々な福祉体験を行いました。5・6年生は観音山自然体験教室・修学旅行とみんなで泊まっていろいろな体験をするという行事がありました。さらに、校外行事として、4年生と5年生の一部は音楽発表会へ、6年生は水泳大会・陸上大会に参加し、自分の力を精一杯発揮しました。

 もう一つ紹介しておくと、2学期は82日間、学校に来る日があったのですが、1日も休まずに登校できた子は75人いました。これも頑張ったことの一つですね。ちなみに1学期からまだ1日も休んでいない子は46人います。すごいですね。
 
 私は、みんなの純粋な笑顔に心温まり、ひたむきに頑張る姿に心が熱くなりました。素直にありがとうと言いたいと思います。それだけでなく、そんな皆さんにとって、この学校がさらに良くなるためにどうすべきかを私はずっと考えてきました。そのため、この学校の強み(他の学校にはない向笠小だけの良さ)は何かというところから考えてみました。この具体は3学期にお話ししたいと思いますが、強みを見つけるたびに、私の心に変化が生まれました。
 それは、向笠小のことがますます好きになっていったということです。「向笠小はいいところがいっぱいあるなあ。やっぱり向笠小はすごいなあ。」と思えるほど、好きになっていったのです。それだけではありません。
 ここにいるみんなとなら、そしてここにいる先生たちとなら日本一の学校にだってなれるって自信もうまれてきたのです。

 そこで、私からみんなに冬休みの宿題を一つ出します。私がこの学校について考えたように、みんなは自分自身のことについて考えてみてください。「他の人にはない自分の強みって何だろう」って。それが見つかるたびにきっと自分で自分のことが今まで以上に好きになり、「ぼくは(私は)きっとやれる」と自信も生まれるはずです。

 では、12日間のいい冬休みを過ごしてください。そして、1月7日には全員そろって笑顔を見せてください。

職員会議で職員に話したこと(校長室から)

2019年12月18日 18時34分
教師向けの話

職員会議の冒頭で、校長から全職員に話をしたことの概要をお伝えします。

1 2学期の総括を
 3学期はあっという間に過ぎていきます。3月までにどのような子どもの姿を目指すのかを見据えたうえで、現在の成果と課題を明確にしておきましょう。3学期以降は、学年だよりにも学級経営に寄せる学級担任の思いをもっと書くように工夫してみましょう。

2 場を整えることの大切さ(子どもたちがじっくり考え、主体的に活動するために)
(1)来校者が必ず口にする言葉
 来校者があると、必ずと言っていいほど、「こういった環境で学べる子どもは幸せですね」と口にされます。これは、自然に恵まれていることの良さを指しているのでしょうが、では、なぜ自然に恵まれていると幸せなのでしょうか。これは、落ち着いた雰囲気の中での教育活動ができるということを指しているのでしょう。このことは、明らかに本校の強みの一つと言えます。したがって、校舎内についても落ち着いた雰囲気を整えることが必要だと考えます。
(2)目指す子どもの姿
 子どもたちには、ごみや埃に自分で気づき、自らきれいにするといった姿を望みます。自分の足元にゴミが落ちていても気づきもしないのはやはり寂しいです。さらに、机や自分の荷物を整理しようとする姿も望みます。「自分の荷物だからどのように置こうが自分の勝手」ではいけない。他の人が見たときに、やはりいい気持ちはしませんから。
(3)教師も環境の一つ
 教師自身も環境の一つであるとよく言われます。心掛けてほしいこととして、学級掲示をすっきりと、歩みや担任の思いが分かるものにしてほしいということです。さらには、居ずまい(服装・言動)を整えるとともに、子どもの育ちを待ち、余分な教師の指示などは控えるようにしたいものです。

3最近の教育に関する記事から
 最近の新聞記事の一部を紹介します。これらのことからも、日本の教育は子ども主体の探究学習を重視する方向に向かっていると言えます。だからこそ、新学習指導要領においても、探究を進めるための計画を自ら立て、学習途上での軌道修正を行い、最後までやり遂げようとする、いわゆる「学びに向かう力」をつけるように求めています。保護者からの学校評価アンケートにおいても、授業のあり方について多くの意見をいただいています。今後、さらなる授業改善が必要だろうと考えています。

(1)市民団体による校則調査(浜松) 12.12
市民団体は、息苦しく軍隊のようなルールと評し、市教委担当者は「守れというだけでなく、きちんと理由も説明していきたい」と説明しています。教師は「やりなさい」と指示するだけでなく、誰にもわかるような丁寧な説明を行えることが必要だということです。
(2)PISA調査 「自分の考えを根拠を示して説明」課題
天声人語(朝日新聞)12.4に、PISA担当者の言葉として、「細かな知識はネットで得られる。知識よりも知恵を出して事態を突破する力が求められる。」という言葉がありました。まさに今後の授業改善を行う上での一つの指標になるでしょう。
(3)「教育」から「伴走」へ(12.5中日新聞夕刊 紙つぶて:今村久美)
次の言葉が非常に印象的でした。これからの学校教育においても、全く同じことが当てはまると思います。
○大人が子どもに正解を教え育てる「教育」から子どもの気づきを大人が支え育む「伴走」に切り替えるとき。
○「やってみたい」という意欲を育み、「やってみた」経験を学びに変える支援こそ大人の役割ではないだろうか。
○育みたいのは、問いを立て、学び続けられる自律した学習者だ。
(4)中教審初等中等教育分科会論点整理(10.16 静岡新聞朝刊)から
下の言葉が印象的でした。集団で学ぶことの意味や意義を再確認し、授業改善を進めていく必要があると強く感じました。
○論点の一つとして、「義務教育段階では児童生徒同士、児童生徒と教師が顔を合わせ学級でともに学ぶ意義を再確認する」の文言があった。
○分科会会長代理の弁として、「技術によって目指している公正で個別最適化された学びが実現すれば、今の学校の常識が通用しなくなる可能性がある。(中略)同じ学年の子どもが同質集団を形成している今の学校は成り立たなくなるかもしれない」との文言が紹介されていた。 

建設部長訪問(磐田市「心合わせ」プロジェクト)

2019年12月13日 10時18分
保護者向けの話

 磐田市では、今年度から、学校と市(行政)の「顔が見える関係」をつくり、人づくりという大括りの施策の中で、相互協力・支援を進めていこうという目的のもと、市役所の各部局長が分担して市内小・中学校を訪問してくれる「心合わせ」プロジェクトを行ってくれています。

 この日(12月12日)は、本プロジェクトの一環で建設部長に訪問していただきました。この訪問に際して学校側からは、「向陽坂と馬坂は通学路になっているが、大規模の台風や地震による影響がこわい。今年度も倒木が何度かあった。PTAの方々も大変心配している。市として何らかの方策を取っていただけないか相談したい」と事前にお話をしてありました。

 建設部長さんは、来校してすぐに、「学校側から相談を受けた件について確認したところ、向陽坂の一部で土砂災害特別警戒区域※に含まれる箇所がありました。そのため、早急に調査実施後、対策を講じていきます。さらに、倒木についても、地権者と相談していきます」との説明をしていただきました。

 学校側の心配を前向きに受け止めていただき、子どもたちの安全・安心を市として担保したいという強い気持ちを感じることができました。私たちにとって、とても嬉しく、心温まる訪問になりました。

※ 静岡県地理情報システムから確認できます