校長室から

自身の考えや思いを筋道を立てて伝えられる子に(校長室から)

2020年11月10日 12時53分
保護者向けの話

1 新たに加えた「最後までやり遂げる子」
 どのような子どもになってほしいか(目指す子ども像)を端的に示している「学校教育目標」ですが、今年度、新たに入れた文言があります。それは、「最後までやり遂げる子」という言葉です。磐田市は「たくましい磐田人(いわたびと)」を育成することを標榜していますが、本校においても、じっくり取り組める環境を整えたうえで、子どもたち自身の「やりたい」を引き出し、そのことをやり遂げようというたくましい心を育てていきたいという強い思いの表れです。

2 「最後までやり遂げる逞しさ」とはどんな姿なのか
 では、「逞しい」とはどういう姿なのでしょうか。「難しいことがあっても逃げずに乗り越える」「多少、嫌なことがあっても我慢できる」こともその一つでしょう。しかし、私たちは「周りの人(同学年のみならず様々な年齢の人々)とのつながりやかかわりを深め、一緒に課題を解決しようという態度」も逞しさの一つと捉えています。

 ここまで読まれた方は、「他とのかかわり・・は協調性なのであって、逞しさとは関係ないのでは?」と思われた方もいるでしょう。私たちは、教師を始めとした大人たちの言うとおりに行動する子どもではなく、「やってみたい」「挑戦したい」という思いを子ども自身が持ち、そのことを実践できる人に育ってほしいと願っています。

 しかし、このことは子ども一人一人が好き勝手にやればよいなどと言っているのではないことは明白です。自分の「やってみたい」を学級やファミリーグループのみんなに説明して、みんなの賛同を得なければ次のステップには進めません。この「説明する」行為自体が大変で、賛同を得られないばかりか、反対されることもあるわけで、「反対されるぐらいなら、やめちゃおう」と簡単にあきらめるのは逞しいとは言えませんし、「なんで私の言うことを分かってくれないんだ」と怒り出すのも逞しいとは言えません。一つの課題に対して、みんなで冷静に議論しあい、折り合いを見つけ、一緒に解決しようとする姿に「逞しさ」を見出すのもこう言った理由からです。

3 自身の考えや思いを筋道を立てて伝えられる子に
 「キレる」若者がふえたと言われて久しいですが、最近の報道を見ると成熟した大人も「キレる」ようになってきて嘆かわしいばかりです。この「キレる」ことの一因として語彙力の不足が指摘されています。確かに、小さな子どもは語彙が乏しいことから、うまく自分の気持ちを言えなくなると、じだんだふんで泣きます。

 成熟した大人も「キレる」ということは、語彙力というのは大人になると自然に身につくものではなさそうです。子どもの頃から、自身の考えや思いを筋道を立てて伝えられるよう、訓練を積み重ねる必要がありそうです。

4 おわりに
 学校では、「自身の考えや思いを筋道を立てて伝えられる」訓練をどういう場面で行っているのでしょうか。これは、日頃の授業において、私たちが意識して行っていることです。一問一答式の授業だとこういう力は身につきません。「息のながい」発言ができるように促しています。ご家庭においても、「親子で話し合う」機会を通して、子どもが自身の思いをきちんと話せるようになるといいなあと思っています。

 先日の会礼で、子どもたちに、「大人になった」ことの一つに、自分の感情をうまくコントロールできるということを挙げましたが、キレたりせずに冷静に自分の考えを伝えられることも大人の条件といえるでしょう。