校長室から

子どもに寄り添うとは・・(校長室から)

2020年6月29日 11時15分
保護者向けの話

 学校の先生の使命は、一人ひとりの子どもに寄り添うことだとよく言われます。子どもはいっぱい失敗するから子どもであり、子ども同士のトラブルが起こるのも当たり前です。そんな時にこそ、本当に寄り添っていける教師集団でありたいと思っています。

 例えば、Aさんが「Bさんにいじわるされた」と訴えて泣いていたとします。この時、Aさんの辛いという気持ちに寄り添うことは教師なら普通に行います。その後、Bさんに対して「Aさんをいじめちゃダメじゃないか」「仲良くしなさい」と厳しく指導するだけでいいのかと、最近、先生たちとよく話をします。


 これでは、いじめられたと訴えるAさんの心には寄り添おうとしているのに、いじめたと訴えられたBさんの心には寄り添っていません。なぜ、このような行動をとろうとしたのか、気持ちをしっかり聴いてみることが大切です。もしかしたらBさんは、「Aさんが嫌い」っていうかもしれません。そこで、「嫌いなんて思っちゃダメ」なんて、この気持ちまで否定してはいけないと思うのです。

 人間だから、どうしてもそりが合わない人もいるでしょう。そのことは認めつつも「嫌い」だからいじめてよいということにはならないということは教えていく必要があります。行動選択が間違っているということを指導していくことが大切です。

 家庭の中でも、子育てしていると似たようなことはよくあります。例えば、弟が「お兄ちゃんにたたかれた」と訴えてきたとします。そこで、お兄ちゃんが「だって・・」という前に、「なんで弟にいじわるばっかりするの!お兄ちゃんなんだから優しくしなさい!」って、ついつい叱ってしまった経験はありませんか。でも、冷静に考えると、こんな時のお兄ちゃんにだって、聴いてほしい気持ちがあったはずです。私も、昔を振り返って反省することしきりです…

 そういえば、この間、元麹町中学校長の工藤勇一氏の本を読んでいて、なるほどと思ったことがあります。最近、失敗を恐れて一歩前に踏み出せない子供が増えている、これは、親や教師が、結果ばかりを見てほめているからかもしれないというのです。「100点取れてよかったね」「1位ですごいね」とほめると、逆に結果が出せないと親や教師をがっかりさせてしまうと考えてしまう、だからこそ、がんばろうとするプロセスを認めることが必要であるというのです。これには、目からうろこでした・・