「愛する」ことと「勇気を持つ」こと~卒業式 校長式辞
2020年3月19日 10時58分向笠小学校令和元年度卒業生として本校を巣立つ28名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。本日の卒業証書授与式は、感染症予防の観点から規模の縮小など余儀なくされた状況ではありますが、できうる限り心のこもった式にしたいと考えております。そのような中、磐田市教育委員会学校教育課増田晃育成指導主事様、本校PTA三役並びに保護者の方々にはご臨席を賜り、誠にありがとうございます。卒業生、教職員とともに、心からお礼申し上げます。
只今、皆さんにお渡ししました卒業証書は、六年間いろいろな困難を乗り越え、頑張ってきた証です。私は、この一年間、皆さんを見てきて「さすが6年生だなあ」と感心することがたくさんありました。毎日の集団登校、ファミリー掃除やファミリー遊びの時などに下級生に寄せる「優しい顔」、サッカーやラグビー観戦での応援、水泳大会や陸上大会などどんな時も手を抜かないいざという時の「真剣な顔」、授業での話し合い活動や昼休みの学級遊びなど友達と一緒にとことん楽しもうとする「きらきら輝いた顔」、そういった顔を見せながら、向笠小学校のリーダーとして立派にその役目を果たしました。
さて、中学生になってもしっかり頑張ってほしいという願いも込めて、私から二つの言葉を贈ります。
一つ目は、「愛する」ということです。ここで私の好きな詩人のひとりである吉野弘さんが自分の娘さんに送った「奈々子へ」という詩の一節を紹介します。
お父さんが お前にあげたいものは 健康と 自分を愛する心だ。
ひとが ひとでなくなるのは 自分を愛することをやめるときだ。
自分を愛することをやめるとき ひとは 他人を愛することをやめ
世界を見失ってしまう。
自分があるとき 他人があり 世界がある。
どうですか。まず、自分の強みを見つめ、自分自身を愛することから始めてください。自分を愛することができる人は、自分以外の人や生き物の痛みが分かり、自分と考えが違う人のことも許し受け入れることができると思います。なお、全編については本日お配りしたしおりに載せてありますので、後で見てください。
二つ目に「勇気を持つ」ということです。
リトルグリーモンスターが歌う「ラブ・ユアセルフ」という歌詞の中にも、
道に迷って 誰かの後をついていきながら
“自分がない”と呟いた
いつでも 自分が向いている方が 前だと信じて
“自分がいい”と思う方に進んでいたい
という言葉があります。これから皆さんが歩む人生は、未知のものであり、望むことや願うことの達成は簡単なことではないかもしれません。時として不安になったり、おそれを感じたり、途方に暮れてしまったりすることもあるかもしれません。それでも勇気をもって、ほんの小さな一歩でいいから歩み続ける人であってほしいと願っています。
私は、たとえうまくいかなかったとしても、勇気をもって立ち向かった人にだけ得られるものがあると思っています。それは「人間の懐の深さ」「人間の大きさ」と呼ばれるものです。
最後になりましたが、保護者の皆様におかれましては、高い所からではございますが、心よりお子様のご卒業をお祝い申し上げると共に、これまでの向笠小学校に対する温かくそして熱いご支援・ご協力に感謝し、心から厚く御礼申し上げます。結びになりますが、卒業生28名の前途に幸多かれとお祈りし、式辞といたします。