校長室から

台風19号から感じたこと(会礼で話したこと)

2019年10月15日 14時59分
子どもたちへのお話

 本日(10月15日)、会礼がありました。今日は、本当は違うお話を用意していたのですが、急遽、台風19号やラグビーワールドカップのニュースから感じたことをお話しすることとしました。以下が、その概要です。


 この3連休は、本当にいろいろなことがありましたね。皆さんの家では、台風19号の影響についてあまり大きなものはなかったと聞いていますが大丈夫でしたか?祭典も行われたようですが地域の良さを満喫することはできましたか?日曜日には、ラグビーワールドカップで日本代表がスコットランド代表に勝利し、決勝トーナメント進出を決めましたね。このことに大興奮した人も多いのではないでしょうか。私もその一人です。
 さて、全国的にみると、今回の台風で川が氾濫したり土砂が崩れたりして、中には犠牲者が出ている地域もあるようですね。被災された地域の方々には一日も早い復旧を願うばかりです。テレビでは、「数十年に一度」とか「かつて経験したことがないような」などと表現されていましたが、実はこういった表現も最近よく聞くようになったと思いませんか?つまり、これまでにない大規模災害がいろいろな地域で頻繁に起きているということです。
 今回は、偶然にも私たちが住む地域は大きな被害には遭いませんでしたが、いつ自分たちの身に起こるか分かりません。想像してみることです。もしものことが起こった時、自分には何ができるだろうかって。

 昔、私が中学校の先生をしていた時のことです。定期テスト中、みんなが集中してテストに取り組んでいるとき、急に教室がガタガタって大きく揺れたのです。みんなならどうしますか?その時、急に立ち上がって固まった子、なぜか筆箱だけ持って教室を飛び出した子がいました。今から30年以上前のことですが、よく覚えています。みんなパニックになって、何をしていいかわからず、そんな行動を無意識にしていたのです。
 さらに、宮城県石巻市の大川小学校では、2011年の東日本大震災の津波で全校児童108人中73人が、先生たちは11人中10人が犠牲になったのです。なぜ、こんなに多くの人が津波にのみ込まれてしまったのか、何かあったら運動場に避難することは決まっていたけど、その先を決めていなかったようです。大きな津波がくることは想像していなくてみんな、運動場に長い時間座ったままどうしようって迷っている間に津波が近くまで来たのだそうです。
 だから、いざという時に行動できるためには、普段から「自分はどこを通ってどこに逃げるのか」ということぐらいは考えておく必要があるということです。

 話を今回の台風19号に戻しますと、14日(月曜日)の新聞に「カナダ代表、冠水地域清掃」という記事を見つけ、私は感動しました。岩手県釜石市で開催予定だったラグビーワールドカップの1次リーグB組のナミビア対カナダ戦が台風のため中止になったとのことです。台風被害の一報を聞いたカナダ代表選手は、市内で約1時間半にわたり泥を片付けるボランティア活動を実施したそうです。試合ができないことで選手はさぞ悔しかっただろうに、自分たちの悔しさより、台風で被害に遭った人の心に寄り添い行動できるカナダ選手はすごいなと思いました。
 だから、もし自分の身の回りで災害が起こり、幸運にも自分の身は助かったとして、今度はまわりの人に何をしてあげられるのだろうかって、そんなことも考えておかないといけないなって思いました。

静岡新聞 令和元年10月14日(日) 朝刊から