校長室から

子どもたちの安全・安心を保障するために(職員会議での職員への話)

2019年9月18日 16時52分
教師向けの話

 「安全」「安心」は学校が保障すべきものです。今回は、本校職員として最低限心得ておくべき内容を再確認する意味でお話ししました。特に、「安全」の中で示した「止まった刻~検証・大川小事故 河北新報社報道部 著」は、私自身、その内容に衝撃を受けたと同時に、職員にもぜひ読んでほしいと勧めました。
 以下が、職員に話をした内容の概要です。

 

1 「安全」~事前防災の見直しについて
(1) 「止まった刻~検証・大川小事故 河北新報社報道部 著」から
ア 2011年3月11日午後2時46分、石巻市立大川小児童108名中73名が、学校にいた教職員11名中10名が犠牲となる。当日、校長不在。津波を想定した具体的な避難場所を指定していなかった。
イ 津波が来た瞬間、先生たちは悔しかったと思う。絶対に後悔したはず。約50分あって、ほんの1分程度しか移動しなかったこと。そして3月11日以前、あらかじめ準備していればと。(本文から抜粋)
ウ 原告団長の言葉。「学校は子どもを守るプロがいる、最も安全で安心できる場所。親はそれを疑いもしていなかった」「最低限、何があっても命は保障してもらわなければ、これからの義務教育、何を信じて学校に子どもを預けるのか」
(2) 子どもたち自身で避難できるために
ア 避難先(集合場所)と避難ルートの再確認を。
 校舎内の火災なら避難先は運動場。不審者侵入ならベランダを通って体育館へ。震度6レベルの地震なら教室にとどめ体育館で保護者へ引き渡し。今後、さらに精度を高めていく必要あり。
イ 子ども全員が確実に避難したことを確認するための教師の立ち位置は。
 避難後に「1人いません」は絶対に許されない。そのため、子どもたちが主体的に避難する最後尾を教師がつく。転倒、動けない子どもがいないか確認しながら避難場所へ。

2 「安心」~特別支援教育の視点から
(1) 病名がはっきりすると安心する心理
 病気が長引く患者が医者を転々と。病名がはっきりした瞬間に安心する患者の心理は想像しやすい。教育も同じ。何らか気になる行動を子どもが繰り返す場合、親は学校に対して明確な指導方針及び指導環境の在り方を望むのが当然であるし、学校側の提案に納得できてはじめて安心を与えられる。
(2) 安心して(心を落ち着けて)学習できる環境づくり
 教師は意識的・無意識的にかかわらず、個々の子どもの観察や保護者との面談から、一人一人に適当な環境を整えている。上記の方法で解明できない子どもの表れに対して、医療やSC・SSWなど専門家の知見を借りてでも早急に見立てを行い、指導方針や環境を決定する必要がある。特別支援学級への入級などは一方策に過ぎない。
(3) 「自分の力で何とか・・」変なプライドが邪魔するケースも
 専門家の知見を借りること、他の教員の助言を受けることを逡巡していると、結局は子どものためにならずに、時間だけが過ぎていく、状況は悪化するばかりという負のスパイラルを生む。「自分の力だけで何とかするんだ、他者の力は借りない」などという教師のプライドは邪魔なだけで何のメリットも生まない。