「自主・自治・貢献」にかける思い(職員会議での校長の話)
2019年6月26日 16時37分4月当初より、目指す子ども像として「自主・自治・貢献」を掲げています。今回の職員会議においては、この3つのうち「自治」に特化して、以下のとおり職員に話をしました。
今から約25年余り前のことです。私がある中学校に勤務したときのことをお話をします。この中学校勤務で、私の教師観、指導観の基礎は作られたといっても過言ではありません。
当時の子どもたちのうち、心の隙間を埋めるため、煙草・シンナー・盗難・夜間俳諧何でもありの状態の子もかなりいたように記憶しています。1年生を一緒に組んだ学年主任の言葉は「子どもを良くしようとするな。今より悪くならなければいい。」「3年後、子どもたち全員を卒業式に出席させる」というものでした。最初は、この言葉の意味が分かりませんでしたが、次第に「上から指導監督をするのでなく、とにかく子どもに寄り添ってほしい。そして3年の最後まで1人の脱落者もださない。」という強い決意の表れだということが分かりました。
では、どうやってそのことを具現化するのか、まさに 「やらされる」から「自らやる」への転換であり、自治の意識の醸成でした。
教師が上から押さえつけようとすると子どもは反発します。だから、子どもたちと約束しました。「子どもたち自身でルールを作り、自分たちで守る。それができなければ、教師がルール(厳しい校則)を作り、それを守らせるしかなくなる。」と。つまり、自由には責任が伴うことを教えたのです。
この後、教師たちは子どもの自治的な動きを徹底的に支えるという地道な活動を繰り返しました。 子どもたちは教師から押し付けられたくないから、お互いに話し合い、お互いに注意し合い、いつしかどの学級よりいい学級にしようとがんばるようになってきました。
このことは、自然に、仲がいいとか悪いとか言っていられない状況を作ることにつながり、誰とでもしゃべらなければやっていけない状況(雰囲気)ができあがりました。
私は、子どもたちが教師に求めているのは「ほめてもらう」ことではない、自分たちだけでやれるんだと「認められる」ことだと、子どもたちの変容を見て強く感じました。
さて、現在、次年度以降の教育課程について検討してもらっていますが、安易に自治的活動とその準備の時間をカットしてはいけないと思っています。担任は変われど、学級のメンバーは変わらない。ならば、担任等いなくても子どもたちだけで学級をより良いものにする環境を作ることは重要だと思うのです。「自治」の意識が醸成されるよう意図的に環境設定する必要があると考えています。
最後になりますが、夏休みのくらしについてです。夏休みは、子どもたちが家庭の中で成長する機会であり、保護者の協力・理解は不可欠です。以下のことについて学級懇談会などの場で説明をしてください。あわせて、子どもたちには「何を どのように」学習を進めればよいか、個別の支援をお願いします。
○ 学校では「自主・自治・貢献」を目指す子ども像とし、進んで自身を伸ばすこと、周りの環境を良くすることに取り組んできた。
○ 夏休み中、親に甘え、親が言わないと何もやらないなどということがないよう、めあてをもたせ、自らを伸ばすよう声掛けをお願いしたい。
○ 本来、学校が子どもたちに課す宿題の目的は①既習事項(基礎・基本)の定着 ②学習習慣や生活習慣の定着 の2つ(予習的な意味合いを入れると3つになるか?)。したがって、夏休みの宿題については、上記目的を達成するための最低限のものにおさえる。あとは家庭と子どもと話し合いながら、学習内容を決めてほしい。