校長室から

東日本大震災後10年目に改めて思うこと(校長室から)

2021年3月11日 14時53分
保護者向けの話

2011年3月11日に起こった東日本大震災から今日で10年が経過します。この震災で1万5000人以上の方々の命が失われたとのことです。本校においても、哀悼の意を表し、半旗※を掲げるとともに、震災が起こった午後2時46分には教職員及び全児童で黙祷を捧げます。

※半旗の掲揚は、国旗を旗竿(ポール)の最上部まで揚げた後、旗竿(ポール)の適当なところまで降ろして掲揚することとし、半旗の位置については、竿頭と旗との間を相当程度離せばよいものとされています。


 私たちはこの一年、「もしものことが起こった時に、自分の判断で行動することができる」子どもを育てようと防災教育を進めてきました。4月当初には、通学路の危険個所や避難場所の確認、校内で地震が起こった場合の避難経路と避難場所の確認を行いました。この後の避難訓練などは、教職員は見守る立場(支援者)を取り、極力、判断を子どもたちに任せるようにしました。

 東日本大震災は、今を生きる私たちに多くの教訓を示しています。ある新聞記事には、「児童108人のうち84人、教職員13人のうち10人が行方不明となった石巻市立大川小学校では、校庭に集められた児童らは寒空の下で待機を続けて移動をし始めた直後に津波にのまれた。犠牲が出たのは津波が襲ったからではなく、逃げなかったからだ。意思決定と行動力が命を救う。」と書かれていました。本校でも、今この瞬間に地震が起こったら、向笠小職員としてどのような行動をすべきなのか、常にイメージしておこうと話し合っています。

 また別の記事には、釜石市立釜石小学校の事例が載っていました。同校は、震災当日、学年末の短縮授業のため、子どもたちは午後1時には下校し、普段通りの放課後を過ごしたそうです。公園で友達と遊んでいた子、海で釣りをしていた子、自宅で過ごしていた子・・子どもたちはその時に自分がいた場所から最適だと思う避難所へ、自分の判断で避難したんだそうです。その結果、同小の当時184人の児童は、学校管理下になかったにもかかわらず、全員が無事だったというのです。

 この2つの記事を比べて改めて思うのは、やはり子どもの命を救うのは、日頃の備えに勝るものはないということです。本日、学校から保護者に宛てたメールに、「10年前の震災を教訓として、万一、登下校時や帰宅後などに地震が発生した場合、どの経路を通り、どこに避難すればよいかなど、「命」を守るための適切な行動について、子どもたちとじっくりと話し合う機会にしていただけたらと思います」とお願いをさせていただきました。ぜひ、学校と家庭で連携して、もしものことが起こった時に、自分の判断で行動することができる子どもを育てていきましょう。

ちょっとした心遣いが心に響く(校長室から)

2021年3月5日 10時56分
保護者向けの話


 6年生の修学旅行は、感染症蔓延による緊急事態宣言も一部発令されている中で、宿泊に不安を感じる子どもや保護者も相当数いたことから、2日間に分けて、学校発着で旅行を楽しみました。そんな中、6年生のいない教室をふと覗いてみると、黒板いっぱいに何やら書いています。よく見ると、「おかえり」「感想聞かせてね」などの文字がたくさん書かれています。5年生が心を込めて書いてくれたことがすぐに分かり、私まで温かな気持ちになりました。

 次に木を伐採してくださった地域の業者の方の心遣いも嬉しいものでした。以前、地域の方から「とんぼランドの中で、朽ちてしまっている木があるよ」とのご指摘を受けました。とても大きな木だったので、地域の業者さんに伐採の依頼をすることにしました。
 作業の途中で、「どれぐらいの高さで切っておきましょうか?」と聴いてくださったのですが、私は最初、どのような意味合いで質問をしてくださっているのか、よく分かりませんでした。すると、「地面すれすれに切ることもできますが、そうすると木に気づかずに足を取られてしまう子どもがいるかもしれません。だから、逆に子どもたちが座れるような高さで切った方が良いように思うのですが・・。」との提案でした。
 こうやって、子どもたちの安全のために細かな配慮をしてくださって作業をしてくださっていることに感謝の気持ちでいっぱいになりました。

私たちが大事にしたかったものは・・(校長室から)

2021年2月25日 14時24分
保護者向けの話

1 はじめに
 感染症を恐れながらも何とか行事を開催したいと強い思いを抱き、かがやきフェスタを行いました。2部制にしたことや保護者席を椅子にしたうえに1家庭1人と限定したことなど保護者や地域の方々にはご不便をおかけしました。
 かがやきフェスタを開催したいと思ったのは、もちろん、行事を通して子どもたちを鍛え育てるという意味合いもありますが、学校をこのような形で開くことで、学校の様子を知っていただくだけでなく、子どもたちの姿を通して保護者や地域の方々にも元気のおすそ分けをすることも学校の存在価値かなと感じていたからです。
 「午前と午後に分かれていて、他学年の発表が見れないのが残念」「全校生徒の合唱が見られず残念」「全学年見られなくて残念でしたが、来年度は全学年でできるといいですね」と書いていただいた方も多数いました。私たちも同様の感を持っています。来年度は、これまで同様、全校一斉で開催できるといいなと思っています。

2 私たちが大事にしたかったもの
 先生がシナリオを考え、子どもはその通りに台詞をしゃべるだけだとしたら、いったい誰のための、何のための学習発表会なのか分からなくなります。だからこそ、私たちは「子どもたち自身でイチから創り上げていく過程」を大事にしたいと考えました。
 「あれだけの道具や衣装と、台詞を覚えたりと、生徒も先生も大変だったと思う」と書いてくださった方もいましたが、完成させていくまでに幾つもの課題を解決しなければなりませんでした。一年間の学習の中で何をテーマに行うのか、テーマが決まればどのような方法で表現するのか、一人ひとりの役割はどうするのか・・などみんなで話し合うことはいっぱいあります。何とか形ができてきて全体を通してみると10分の発表時間に収まらない、どうすればいいのかと何度もやり直してやっと発表できる段階にこぎつけます。
 「コンパクトにまとまっており、見ごたえがあった」「みんな頑張っていて生き生きとした姿で立派だった」「動きがきびきびとしていて発表の流れがスムーズ」など、子どもたちの成長に感動していただいたコメントをたくさんいただきました。これらは、前述のようなクラスでの話し合いや練習の中で、自分ごととして子どもたち一人ひとりが取り組んだ成果とも言えます。

3 幾つかの課題も・・
 保護者の皆様からいただいた感想を一通一通目を通す中で強く感じたことは、かがやきフェスタへの期待、ひいては学校への期待でした。この日を楽しみにしていただいた方々を前に、何とか開催できて良かったなあと心から思っています。
 中でも「発表している学年の保護者が前の席というように保護者が移動できたら」「保護者席について、席を学年ごと時間で入れ替え制にしてもらえると見やすかった」といった保護者席のことや「YouTubeでの子どもたちの姿が小さすぎた、音声が聞き取りにくかった」「これをいい機会にいろいろな行事もライブ配信してもらえると助かる保護者もいると思うので続けてほしい」といった動画配信に関することでのご意見を幾つかいただきました。
 しっかり見たいと願う保護者等の思いはよく分かりますし、こういった思いに応えられるようにしたいとも思います。今年度は、コロナ禍の中で、試行錯誤しながら職員だけで対応してきましたが、このような前向きなご意見をいただけるようならば、運営面でのボランティアを募集することも積極的に検討しなければとも考えました。

4 おわりに
 私たちは、この一年、本校のもつ3つの強みを生かし、①子ども主体の教育 ②異学年交流の充実 ③地域とのつながりを意識した活動 に取り組んできました。学習発表会は、この一年の学校運営の集大成の場とも位置付けておりましたので、多くの御意見をいただけたことは大変うれしく思っています。「来年も楽しみです」と書いていただいた方も多数いましたが、今後ともさらなる子どもたちの成長を見せられるよう、私たちは、家庭や地域の方々と手を携えて前進したいと考えています。

「自分を愛する心」~会礼での校長の話

2021年2月3日 14時48分
子どもたちへのお話

 まだまだ寒いですが、今日から「立春」ということで、暦の上では春ということになります。ちなみに、季節の変わり目には病気になりやすいのは、体や家の中に鬼が入るからだと考えられており、季節の区切りの前日を「節分」と呼び、豆まきや恵方巻を食べるなどの行事が行われてきました。

 さて、今日の会礼は、私の好きな詩を一遍紹介します。
 この詩は、吉野弘さんという詩人が、自身の娘さんに宛てた手紙のような詩です。2つのものをあげたいと言っています。まさに皆さんを目の前にすると、私も同じような思いになります。まずは聴いてください。

奈々子に  吉野 弘

赤い林檎の頬をして
眠っている 奈々子。

お前のお母さんの頬の赤さは
そっくり
奈々子の頬にいってしまって
ひところのお母さんの
つややかな頬は少し青ざめた
お父さんにも ちょっと
酸っぱい思いがふえた。

唐突だが
奈々子
お父さんは お前に
多くを期待しないだろう。
ひとが
ほかからの期待に応えようとして
どんなに
自分を駄目にしてしまうか
お父さんは はっきり
知ってしまったから。

お父さんが
お前にあげたいものは
健康と
自分を愛する心だ。

ひとが
ひとでなくなるのは
自分を愛することをやめるときだ。

自分を愛することをやめるとき
ひとは
他人を愛することをやめ
世界を見失ってしまう。

自分があるとき
他人があり
世界がある。

お父さんにも
お母さんにも
酸っぱい苦労がふえた。
苦労は
今は
お前にあげられない。

お前にあげたいものは
香りのよい健康と
かちとるにむづかしく
はぐくむにむづかしい
自分を愛する心だ。

 吉野さんは、「健康」と「自分を愛する心」をあげたいと言っていますね。
皆さんは、今は親や先生たちから愛され、大事にされ、何なら健康についても気を遣ってもらっています。しかし、いつまでも親や先生は一緒にはいられない、いつかは必ず自分の2本の足だけで世の中を歩く日が来るのです。

 世の中には、テレビやゲームをはじめとする楽しいことやものであふれていますし、逆に自分にとって苦しいことや悩ましいこともいっぱい目の前にせまってくることでしょう。そういう時に、いかに自分を愛することができるかが大切です。

 例えば、「テレビを見たいから見る」「ゲームをしたいからする」といったように、自分のやりたいようにやることが自分を愛するということでしょうか。違いますね。これらは自分を甘やかしているだけです。こうした「~したい」を我慢して本当になりたいもののために努力することが自分を愛することだと思いますね。さらに、自分にとって難しいなあ、大変だなあと思うことが目の前に現れた時に「どうせ、僕なんかにできるわけはない」などと自分で自分をあきらめてはいけません。「僕ならきっとできる」と自分に言えることこそ、自分を愛する姿だと思います。

 今回が、今年度最後の会礼となります。一年間、きちんと聴いてくれてありがとう。
※ なお、入退場は、6年生有志の素敵な合奏でした。トップページに動画を掲載しておきます。

入学説明会での校長挨拶(校長室から) 

2021年1月29日 15時37分
保護者向けの話

 4月7日が入学式ということになりますので、もう入学まで70日を切っている計算になります。
 本校は、明治6年(1873年)に法雲寺に向笠学校(村学校)開校して以来、令和3年度には148年目となります。男子14名、女子8名の22名の新入学児童を加え、全校で142名となります。

 まず、「どんな学校のカタチを目指しているか」ですが、前回の就学時健診では、本校の3つの強み「本校児童の強み」「小規模を強みにした学校経営」「地域とのつながりの強さ」を生かした学校運営を行っていきたいとお話をさせていただきました。端的に言えば、「子どもは、いろんな人とかかわり、いろいろな場所で活躍の機会があり、いろいろな人から認められる」そんな学校だとイメージしてください。

 次に、私たち教職員の心構えのようなものを紹介しますと、「すべての子どもの笑顔のために」を合言葉に教育活動を進めております。あえて「すべての」という言葉を入れたのは、一人の子どもも一人ぼっちにしないという強い思いの表れととらえていただければと思います。「笑顔のため」としたのは、「やりたい」を見つけ、幾つもの課題を乗り越え、見事やり遂げたときの充実感と達成感で満ちた「笑顔」を指しています。
元気な笑顔で登校し、すっきりした笑顔で帰宅してほしい、これは私たち教職員も保護者の皆様も共通の願いだと考えています。さらに、この笑顔のために、何よりも大事なことは深い子ども理解だと思っています。「子ども理解」に関連して、私がとても共感する東井義雄氏の「どの子も子どもは星」という詩を紹介します。

『どの子も子どもは星』       東井義雄

みんなそれぞれがそれぞれの光をいただいて
まばたきしている
ぼくの光を見てくださいとまばたきしている
わたしの光も見てくださいとまばたきしている
光を見てやろう
まばたきに 応えてやろう
光を見てもらえないと子どもの星は光を消す
まばたきをやめる
まばたきをやめてしまおうとしはじめている星はないか
光を消してしまおうとしている星はないか
光を見てやろう
まばたきに応えてやろう
そして
やんちゃ者からはやんちゃ者の光
おとなしい子からはおとなしい子の光
気のはやい子からは気のはやい子の光
ゆっくりやさんからはゆっくりやさんの光
男の子からは男の子の光
女の子からは女の子の光
天いっぱいに
子どもの星を
かがやかせよう

 東井氏は、子どもの光をしっかり見つめ、その瞬きに応えてやろう、そして子どもの星を天いっぱいに輝かせようと言っています。さらに一つの型に子どもをはめるのではなく、「やんちゃ者からはやんちゃ者の光」と、本来持っている一人ひとりの光を輝かせようと言っています。皆さんにも、何か感じ取っていただけるものがあれば嬉しいです。長くなりましたが、以上で私の話を終わります。

修学旅行説明会にてお話したことついて(校長室から)

2021年1月29日 10時18分
保護者向けの話

1 はじめに
 この日を迎えるにあたって、修学旅行に関係するすべての方々の思いをできるだけ聴いておきたいと思い、PTA本部役員会(1月22日実施)を経て、6年生保護者全員に意向調査を実施しました。保護者の皆様は、正直な親の思いを丁寧に綴っていただいており、子を思う親の気持ちが痛いほどに分かりました。さらに、6年生児童からも再度考えを聴くことができました。これまでも候補地選びの段階から熱心に取り組んできたのを間近に見てきましたし、昨日(1月27日)も2時間にわたる話し合いの中で本音を出し合うとともに、お互いを尊重する姿勢も見られ成長を感じました。
2 方面選定における経緯
 新型コロナウイルス感染症対策の一環により休校措置を講じた後、5月初旬には教育課程の見直しを図りました。その際に、感染症の拡大は必至で、10月の実施は厳しく、できるだけ日程を後ろに持っていった方が状況は沈静化しているのではとの予測を立て3月実施としたところです。
 その間、当初予定していた東京方面は断念し、学級内で県外1箇所(石川方面)、県内1箇所(下田方面)の候補地を立てました。昨年内に1箇所に絞るよう迫られたため、感染状況を鑑み、県内候補地に絞ることとしました。
 下田市内のホテルをキャンセルするのは1月末を期限としたいとの旅行業者の進言もあり、現状を鑑みたところ、警戒レベル5(特別警戒)であることに加え「感染拡大緊急警報」も発令されている中での下田方面への旅行は、感染リスクが高いとの判断の元、キャンセルしたいと考えました。
3 子どもたちの思いについて
 修学旅行という行事を通して、学級のまとまりや絆を強くしたい、中学校に行ってもともに行動できる仲間づくりを進めたいとの思いが大半を占めており、「何らかの形で旅行を実施したい」という思いは全員共通の思いであることが分かりました。しかしながら、宿泊を伴う旅行にすべきか否かについては意見が分かれるところでした。宿泊という体験をしたい、向笠小のみんなだけで泊まれるのは今回限りであるなどの理由から「みんなで宿泊したい」との意見がある一方、感染症へのリスクや宿泊する必要性などの観点から「宿泊したくない」との思いもありました。
4 保護者の意向について
 旅行の実施可否については、全員が「何らかの形で実施させたい」との意見でした。「子どもが楽しみにしている」「思い出づくりの場を」「子どもの思いを尊重したい」というのが主な理由です。
 一方で宿泊可否については、やはり意見が分かれました。感染リスクがあるなどの理由から、明確に「宿泊させたくない」との意見を持つ方もいれば、宿泊させてあげたいが不安も抱いているという方もいました。
5 修学旅行実施における方向性
 上記のことをふまえ、校内でも慎重な協議を重ね、総合的に判断した結果、以下の通りとします。
 (1) 旅行自体に否定的な意見は、子ども・保護者ともに見られませんでした。つきましては、①学級全体での特別な思い出を作る機会 ②小グループで協力して何かをやり遂げる機会 という2つの目的を達成できるような旅行を実施します。
 (2) 宿泊については感染リスクを懸念する意見が子ども・保護者ともに一定数いるに加え、「子どもの思いは尊重したいが感染リスクを考えると不安がある」と迷いを示す保護者は相当数にのぼります。さらに「学校行事」としての全体の統一性を考えると、「宿泊は個人の自由」とするのは全員の納得解は得られないとの判断から、今回は泊を伴わない旅行に限定したいと考えました。
 (3) 旅行の場所についても、感染リスクを考慮すると、自然散策などを中心としたものにし、そうなると雨天を考慮して予備日も設定しておくことも検討します。

少しゆったりした時間の流れの中で・・(校長室から)

2021年1月25日 18時12分

 補充発展学習の時間に、教室を参観して回ると、いつもの授業とはちょっと時間の流れが違うような気がします。授業中にはやり切ることができなかったことをこの時間を使ってやろうとするわけですから、頭も心も落ち着けてじっくり取り組もうとする子どもの姿が見られます。

 1年生の教室をのぞくと、女の子2人が向かい合って鍵盤ハーモニカを吹いています。お互いに教え合いながら、音を合わせようとしています。「難しいね」などと言いながら笑いながら練習していました。
 がらんとしたパソコン教室には、4年生の子2名が、各々、パソコンに向かい合って何やらやっていました。「何をやっているの?」と尋ねると、「学習発表会でダムのことを発表するので、そのことを調べていたのです」と答えてくれました。それだけ会話すると2人とも再びパソコンでの調べ学習に取り掛かっていました。
 3階「とんぼ1」の教室では、6年生が3人で何やら話し合っていました。こちらから話しかけるのも憚られるぐらい熱心に話し合っていましたので、その様子をそっと覗いてみると、卒業文集のレイアウト(構成)を検討していたようでした。

 45分の授業時間だけでは完結できないことがあった時に、うまく補充発展学習の時間を活用してほしいなと願っています。元気な笑顔で登校し、すっきりした笑顔で下校してほしい・・これが私たちの単純な願いです。

自分を律しながら自身を成長させる意識とスキルを・・(校長室から)

2021年1月15日 11時20分
保護者向けの話

 世の中には、楽しいこと、便利なことが溢れています。往々にして、人間はこういったものに飛びつくきらいがあるものです。大人でもそうなのだから、子どもはなおさらです。
 でも、こういった楽しいことや便利なことに飛びつくこと自体を否定するつもりはないのです。飛びついた後、心にブレーキがかけられるかどうかが重要なのだと、私は考えています。いつまでもブレーキをかけられずにズルズルと楽しいことにはまっていくと、心身の成長に支障をきたすことにもなりかねないからです。

 なぜ急にこんな話を持ち出したのか…「オンラインゲーム」です。2学期末にはこのことで、ある保護者から心配の声が聴かれたとか、友達同士のトラブルの温床にもなりかけているといったことが聴かれました。そのため、学校としてもまず実態を把握することから始めようということで、子どもたちを対象にアンケート調査を行いました。

 このことの詳細については、後日、生徒指導主任からお知らせしますが、やはり手放しで安心できる結果ではありませんでした。オンラインゲームは、コロナ禍において、家庭にいながら知らない人ともつながれるし、時間を忘れて楽しめる便利なツールだろうとは思います。しかし、使用時間や使用頻度を見ると、「ゲームで一日が終わってしまうような生活をしていないかな?」とか「知らない人と自由につながることの危険性を知っているのかな?」とこちらが不安になるような子どもも散見されます。

 今後、学校としては、保護者の皆様にも、オンラインゲームにかかる認識や困り感等を中心にアンケート調査を実施させていただこうと考えています。子ども自身が心にブレーキをかけながら、こういったゲームを、自身の生活を豊かにするための一つのツールとして上手に活用できるように、学校としても指導を行っていく必要があると考えています。しかし、具体的なルール作りは親子でしっかり話し合って決めていただく必要もあるとも考えています。今後、アンケート結果をもとに、学校で指導すべきことを検討していくと同時に、保護者にもご協力をお願いすることもあろうかと思います。

 自分の意思で、自分を律しながら、自身の大きな目標に向かって前向きに取り組むことは、大人でも難しいことです。だからこそ、こういった機会に、学校と家庭とが協力しながら、自分を律しながら自身を成長させる意識とスキルを子どもたちに身につけさせたいと考えています。

有終の美~3学期始業式から

2021年1月5日 09時08分
子どもたちへのお話

 2021年(令和3年)がスタートしました。皆さん、あけましておめでとうございます。今年は丑年です。磐田の見付天神にも願掛け丑が鎮座していますが、そもそも丑は、その昔、農作業や物を運ぶ労働力として重宝されていたことから「粘り強さ」や「誠実さ」の象徴とも言われています。

 さて3学期は、今年度の仕上げと次にやってくる学年への準備をする学期です。「有終の美」という言葉を知っていますか。何かをやり始めることは誰でもできますが、終わり(最後)までやり遂げることは難しく立派(美しい)という意味です。みんなも、ここで3学期の最後までやり遂げることを決めてみませんか。一度、全員起立してください。「できるようになるまで頑張ってみよう」「最後まで続けよう」ということが決まったら座ってみましょう。3学期は50日(6年生は51日)しかありません。今、心に決めたことを丑の如く粘り強く最後までやり続けてください。みんなならきっとできるはずです。
 もう一つ、お話をしますよ。2学期の終業式に「親切のバトン」というお話をしましたね。自分が受け取った親切を今度は私が誰かに渡していこう、小さな親切をつないでいこうということでしたね。みんなは、「情けは人のためならず」という言葉を知っていますか。これは、「親切にすることは人のためにならない」ということではないのですよ。人に親切にすれば、その相手のためになるだけでなく、やがてはよい報いとなって自分にもどってくる、つまり、人のためというより自分のためであるという意味なのです。ぜひ、「親切のバトン」は、みんなのためだけでなく、最後は自分のためにもなると思ってどんな小さなことでもいいのでつないでいきましょう。

親切のバトン~2学期終業式での話

2020年12月25日 16時41分
子どもたちへのお話

 86日間といういつもより少し長めの2学期も今日で終わろうとしています。2学期は「自分たちで」をキーワードに様々な取組を行いました。運動会やファミリーウォークラリーでは、高学年を中心にどんな行事にするかを自分たちで考え、先生たちの力を借りずに自分たちだけで行動することができました。自分たちだけでやり遂げるたびに、自分で自分のことを今まで以上に好きになった子、「ぼくは(私は)きっとやれる」と自信がついた子も多かったのではないでしょうか。私は、みんなのこういった行動を見るたびに、みんなへの信頼と期待がますます高まっていきました。

 さて、3学期は「みんなのために」をキーワードに、1年間のまとめをしていきたいと考えています。先日、新聞の夕刊のコラムに素敵なお話が紹介されていました。「親切のバトン」という内容のお話です。筆者がかつて住んでいた外国で、財布を無くした。そんなときに、「拾った財布にあなたの名前が入っていた、心当たりがありましたら連絡ください」とのメールが入る。翌日、待ち合わせの場所に若い女性が現れた。財布の中身が落とした時と変わっていないことに驚き、拾ってくれたお礼を伝えたら、「あなたが、私の国に来て良かったと思ってくれたら、私も幸せ」というその返事にまた驚いたというのです。筆者は安堵と感謝の気持ちでいっぱいになったと同時に、受け取った親切を今度は私が誰かに渡していこう、小さな親切をつないでいこうと思ったということです。

 例えば、高学年がしてあげた「小さな親切」は、低学年の子の心に「向笠小の子どもで良かった」「私もあんなふうに誰かに親切にしてあげよう」と思わせることでしょうし、そう感じた低学年の子が友達や地域の人に小さな親切をつないでいけば、「みんなのため」になっていきます。3学期はぜひ、そんな「親切のバトン」を順につないでいけるといいなと思っています。

 では、10日間のいい冬休みを過ごしてください。そして、1月5日には全員そろって笑顔を見せてください。

 これで私のお話は以上とさせていただきますが、ここで皆さんに紹介したいことがあります。先日、日本三曲協会というところから、日本の伝統文化を子どもたちに感じてほしいということで、箏を一面いただきました。ここで、弾いていただき、みんなで箏の音色を楽しみましょう。(この時の様子は、後日、トップページに画像を載せておきます。)