校長室から

感染症対策と活動内容の充実(校長室から)

2020年9月1日 14時11分
保護者向けの話

「希望の光です・・」
 先日、PTA奉仕作業及び役員選挙実施後、PTA3役の皆様にはお時間をいただき、運動会を始めとする2学期以降の学校行事のあり方について協議をさせていただいた。
 学校側からは、考え得る万全の感染症等の対策を講じたうえで予定通り学校行事を実施する方向を模索したいということ、ただし延期や中止の判断をせざるを得ない場合もあるということをお話しさせていただいた(「2学期行事の実施のあり方について(向笠小).pdf」参照)。

 PTA3役の皆様からは「学校行事を行うことで子どもを育てたいとする学校の思いは保護者に伝わっていると思いますよ。子どもたちにとっては、こういった学校の姿勢というものがモチベーションになっています。頑張ればあとできっといいことが待っていると思えることが子どもたちにとっては希望の光です。」とまで言っていただいて、正直、涙が出るほど嬉しかった。


「安全策ばかり考えていたら何もできない」
 上記の台詞は、私がまだ行政機関に勤務していた頃、ある職員から投げかけられたものである。「未だにこんなことを考える人もいるんだ」と驚きを感じたことを記憶している。

 今回のことで言うと、私は感染症対策を強めれば活動内容は縮小する、逆に活動内容を充実させようとすれば感染症対策には目をつぶる・・といったように、この2つを同軸で考えるべきではないと思っている。こんな考え方をすれば、「感染症が怖いから今年は何もしない」となりかねない。

 この2つのことは別次元の問題である。学校行事に限らず、何かを行おうとすれば必ずリスクはついてくる。こういった課題を一つひとつ整理して対策を講じていけばきっと充実した活動はできるはずだと思っている。子どもたちにとっては全てが一生に一度の体験になる。「今年はコロナだから我慢してね」などとは言いたくないし、言ってはいけないとも思っている。

 「石橋を叩いて渡る」という言葉があるが、私たちは叩きすぎるくらい石橋を叩こうと思っているし、保護者の皆様からの不安等の声も積極的に聞きたいと思っている。しかし、最も大事なことはきちんと「渡る」ということであるとも思っている。


「どんな状況でも、子どもが育つ環境を準備する」
 感染症対策と活動内容の充実は別次元で考えるなどと書くと、「どんなことがあっても行事は行うのですね。中止することがあるというのは考えが矛盾しませんか?」との批判がありそうだ。私は、どんなことがあっても行事を中止しないとは言っていない。むしろ、危険を回避するために撤退することはあり得る。感染者等が発生しているのに平然と学校行事を行っている方がおかしいのである。

 運動会等の学校行事というのは、あくまで「こんな子どもを育てたい」という目的を具現化するための一方策である。したがって、学校行事ができなくなっても、「こんな子どもを育てたい」という目的自体は何も変わっていないし、なくなってもいない。だから万が一、学校行事を中止する事態に陥ったとしても、当初の目的を達成すべく別の方策を検討するようにしたい。私たちはどんな状況になったとしても「子どもが育つ環境」を整えるべく知恵を絞りたいと考えている。