5月会礼 校長の話
2019年6月7日 11時21分 今日は、「進んで」に関連して2つのことをお話ししたいと考えています。
1つ目は、「進んで」何かをやると「楽しい」ということです。
授業中、先生が何か面白いことを言ってくれると「楽しい」って感じるかもしれません。でも、その楽しさは本物ではありません。本物の楽しさは、自分から進んで発表したり、何かの活動に参加したりしてはじめて味わえるものです。
進んで何かをやると、「意外と僕って(私って)できるものだなあ」と自分についての発見をするかもしれない。中には友達や先生から「そんなこともできるんだ、すごいねえ」って今までと違う目で見られるかもしれません。だから覚えておいてください。学校での楽しさは家でくつろいでテレビを見ているときのそれとは違って、自分から進んで活動してはじめて味わえるものだということを。
2つ目は、ではどうやったら「進んで」できるようになるかです。今日はそのコツを教えます。それは、自分で自分のことをほめるのです。「恥ずかしいなあ」「うまくできるかなあ」と思ったときに、「僕なら(私なら)きっとできる」と自分に言ってあげるのです。そして進んで何かやれた時も「よく頑張った」って自分自身に言ってあげるのです。これは心の中で思うだけではなく、ちゃんと口に出して言ってあげた方が効果があります。「どうせ僕なんて(私なんて)できっこない」なんて言ってるのは、自分で自分のことを馬鹿にしているってことなんだから、絶対に言ってはいけない。
最後に、一人の女の子の作文を読んでお話を終わりにします。これは、約15年前に私が6年生を担任したときの教え子のものです。この子はクラスの中では比較的おとなしい子でした。では聞いてください。
昔の私は「自信」というものがありませんでした。なので修学旅行の話し合いでも自分の意見を言うことは初めは閉ざしていました。グループのみんなが計画を進めていってくれる。だから私は黙っていれば・・。そんな人任せなことを思う時もありました。
ある日、母と私は2人で修学旅行の話をしていました。会話の中で母が「おせんべい焼いてみるとか、そんな体験してみたらどう」と一つのアイディアを口にしました。その時の私は「普通の修学旅行でいい」と思いました。「体験なんてできるわけ絶対ない」と思っていたからです。でも次の日、昨日の母のことを先生に言ってみました。そうしたら先生は「いいじゃない。その意見、グループの中で発表したら」と言われました。少し、私はびっくりしました。でもなんだか、「よし、言ってみよう。」という気持ちがどこからかいっぱい湧いてきました。
話し合いがあった日、私はついに思い切って言ったのです。「おせんべい」初めの一言はこれでした。「おせんべいとか焼く体験しようよ」そうすると、グループの中のある子が「いいかも」と言ってくれました。その時私は、私でも自信をもって意見を言えるんだ、もっと積極的にならないと、と思いました。その後、私の性格をかえた「おせんべい」というアイディアはグループの人たちの協力もあり「雷おこし」となり計画の中に入りました。
私は修学旅行という大きなテーマを通じ、自分のことを見つめ直すことができました。人任せや自信が持てないということは、自分は絶対できない、失敗がこわいと思っていたからだと思います。自分の意見を言い、それが相手に分かってもらえるということがどんなに嬉しいか、今回それが分かりました。これからも意見を言うことがたくさんあると思います。その時は「絶対だいじょうぶ」と心で思い、自分の考えを伝えていきます。