運動会での成長を次に生かそう(職員向けの話)                  


5月25日(土)に運動会は大成功の中、終えることができました。校長として、今年の運動会を総括し、今後の指導に生かしていきたいという思いを込めて、以下の話を全職員に対して行いました。

1 運動会は大成功!
 気温30度を超す真夏日になった。にもかかわらず、1人の欠席者もなく、大きな事故や怪我がなかったことは言うまでもない。しかし、それ以上に子どもたちの姿を見て、「今年の運動会は大成功だ!」と強く感じることができた。
 まず、子どもたちの表情から一様に運動会を楽しんでいたことが分かる。さらに表現種目等を見ると、練習の時より明らかにまとまっているし、一人一人の動きがきれいだと感じた。高学年は誰に指示されるでもなく、係の仕事に自主的に取り組み、まさに自分たちで自分たちの運動会をいいものにしようとする自治的な雰囲気が見られた。

2 成功に導いた要因を考察すると…
(1) 教師が楽しいと子どもも楽しい
 このことは、授業も学校行事も同じである。教師がつまらないと感じているものを子どもが楽しいと感じることは皆無である。まず教師は、授業や学校行事を組み立てる際には「わくわく」「ドキドキ」を強く持っていることが大事である。
 練習の時もそうであったが、本番の先生たちの表情を見ていると、実に生き生きしている。こちらがうらやましくなるほどに楽しそうであった。あんな表情を見せられたら、子どもたちは楽しくないはずがない。
(2) 子どもが主体的に活動できる環境づくり
 「一生懸命動け!」「自分たちで考えろ!」「しっかりやりなさい」などと子どもたちを鼓舞してみても、子どもたちは決してそんなふうには動いてくれない。指示をすればそのとおりに動くのはロボットだけであって子どもは大人の指示通りには動かない。子どもたち自身で動きを考える時間と機会を設定する、高学年と低学年がともに活動する場を作る‥こういった意図的な環境設定をどの学年でも行ってくれた。
 子どもたちが自主的に活動したくなる環境、協力して一つのものを作り上げたくなる環境をどうやって設定するかは、教師の腕の見せどころである。あとは、一人でも二人でも「皆と一緒にやると楽しいなあ」「人ってこんなに温かいんだなあ」と感じてくれればそれでいい。
(3) 自由と責任を感じさせる場に
 運動会当日、体育主任から「今日1日は、先生方は、子どもたちを支援する側にまわってください」との言葉があった。教師が子どもに手をかけ続ける間は、子どもは教師に依存し「最後は先生がやってくれる、責任取ってくれる」と思うか、「先生は僕たち(私たち)のことをいつまでも信用してくれない」と反発するかのどちらかである。
 だから、運動会当日の出来栄え自体を子どもたち自身に任せて、教師は一切の指導をしないという体育主任の指示は正しいものだと思う。自由に任せてみることで、子どもたちは責任を果たそうと真剣に取り組む。
 こういった大一番に子どもたちに任せることができるかどうかは、事前準備でいかに綿密に教師側が安全面に配慮した適切な指導をしてきたかにかかってくる。
 さて、自由と責任を任された子どもたちの運動会での様子はどうだったか。まるで私には「ほらね、私たちだけでちゃんとできたでしょ!」と、子どもたちの心の声が聞こえたように感じた。子どもたちは、私たち教師側の信頼にこたえてくれた。
(4) 地域の方々や保護者も楽しんでくれた
 大玉転がしで、大人も子どもも一緒に楽しむ姿が見られた、朝から来賓席や敬老席が一杯になるほど応援に来てくれた、準備や片付けでは、お父さんの姿も多く見られた…こんな姿を子どもたちが見て、何も感じないはずがない。少なくとも、安心して学校行事に取り組むことはできたはずだ。
 地域の方々や保護者が学校に対して高い関心を示してくださっているうえに、協力を惜しまないという姿勢も強く感じることができた。私たち学校側は、こういった気持ちを大切に受け取りながら、win-winの関係づくりを続けていきたい。

3 運動会で得た成長を分析し、次に生かす
(1) 運動会を一過性のお祭りで終わらせないために
 運動会はゴールではないが、中には「燃え尽きた。真っ白な灰に‥」と言っている子どももいるかもしれない。運動会を一過性のお祭りで終わらせないために、まず運動会の反省について話し合ってほしい。その中で一人一人の成長に目を向けさせるほか、学級全体としての成果や今後取り組んでみたいことなど、新たな目標づくりを行ってほしい。
(2) 上記の成功要因を今後の教育活動に生かす
 教師が「わくわく」「ドキドキ」するものを子どもに提示し、子どもたちが主体的に活動できる場を設定する、最低限の指導をすればあとは子どもたちに任せ、行動の結果は子どもたち自身に責任を持たせる‥こんなサイクルを日々の教育活動の中に創り出していきたい。
 その中に、地域の方々や保護者の協力を得た方がより効果的であるというものがあれば、ぜひ取り入れてみてほしい。