校長室から

「一斉アンケート調査」実施までの経緯と背景について(校長室から)

2020年8月6日 10時56分
保護者向けの話

 昨日、保護者の皆様等を対象に向陽学府小中一貫教育に関するアンケート調査を依頼するメールを送らせていただきました。なぜ、この時期にアンケート調査を実施するのか、このアンケート調査の結果をどのように活用するのかなど、解説文の中で十分にお伝えできなかったことを、書いてみようと思います。

1 これまで向陽学府小中一貫教育で進めてきたことについて
 向陽学府では、これまでも3年間の期間を区切って、小中一貫教育のあり方を模索してきました。第2期向陽学府コスモスプラン(平成30年度から令和2年度)では、「つながり」をキーワードとして様々な取組を行ってきました。
 「人とのつながり」では、行事を通して小学校間のつながりや小中学校間の交流を行いました。「地域とのつながり」では、CSD(コミュニティ・スクール・ディレクター)を中心に積極的に総合的な学習の時間に地域人材の協力を取り入れた授業を実践しました。「教師のつながり」では、異校種の教育課程や学校文化を理解するための授業参観や、小学校と中学校における相互の乗り入れ授業を行ってきました。これらの取組は、子どもたちにとっても教師にとっても大きな成果を得ることができたため、次年度以降も充実した取組を継続していきたいと考えています。

2 来年度以降の向陽学府小中一貫教育の方向性について
 一方で、「小中一貫した教育課程の編成・実施に関する手引(平成28年12月26日 文部科学省編)」には、小中一貫教育の中核とも言える事柄として、9年間を見通した学校教育目標を設定することと、系統性・連続性を強化したカリキュラムを編成・実施することと示されています。
 そこで、第3期コスモスプラン(令和3年度から令和5年度)では、向陽学府内小・中学校がともに目指す子ども像を設定・共有するとともに、その実現を図るため、9年間を見通した小中一貫カリキュラムを編成していきたいと考えています。

3 向陽学府内小・中学校がともに目指す子ども像を設定・共有することについて
 これまでも、各学校において、小学校6年間若しくは中学校3年間を通してどのような子どもの姿を目指すのかを「学校教育目標」という形で示しています。しかしながら、上記に示したとおり、最終的には本学府の子どもたちの多くは向陽中学校を卒業するということを考えると、小・中学校で別々の教育目標を立てるのではなく、向笠小・大藤小・岩田小・向陽中の4校が目指す子ども像を一つにした方がその教育効果は高いと考えました。
 ついては、令和3年度以降の学府教育目標は、9年間をかけて目指す子ども像として示すこととし、この目標は向陽中学校の学校教育目標にもなります。ただし、ここで設定した学府教育目標が小学校段階では高度であると判断した場合は、9年間の途中段階として、小学校6年間で目指す子ども像を示すこととします。したがって、この目標は大藤小学校・向笠小学校・岩田小学校共通の学校教育目標になります。

4 どのように目指す子ども像を設定するのか
 「目指す子ども像」は、校長の一存で設定されるわけではありません。国や県・市の動向、児童生徒の実態等を含め、様々な要素を考慮して、慎重に決めていきます。
(1)新学習指導要領・磐田市教育委員会方針を受けて
 新学習指導要領において求められている資質能力は、生きて働く「知識・技能」・未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力」・学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性」です。こういった資質能力を子どもたちが身につけるためには、教師から与えられた学習課題を受け身的に取り組むのでなく、主体的・対話的・深い学びの環境を整える必要があります。
 さらに磐田市教育委員会は、磐田市の教育について、大きな変動が予想される未来に立ち向かっていける「たくましい磐田人(いわたびと)」を育成するために、上記に示した「学力の保障」は当然のことながら、「ふるさとを愛する優しさ、未来をひらく強さ、豊かで愛情溢れる心」を育てると述べている。本学府としても、磐田市の教育の目指す方向性と歩みを同じにしていかねばならないと考えています。
(2)本学府の実態
 学府の子どもたちは、人の温もりのある恵まれた環境の中で育っています。多世代同居の家庭も比較的多く、地域住民同士のつながりも強いことが伺えます。そのため子どもたちは、小さい頃より大人からの愛情を受けて育っており、概して情緒が安定し素直で優しい子どもが多いと言えます。さらに地域行事の中に子どもたちが活躍できる機会が多いのも、本学府の強みと言えます。
 一方で、学府内小・中学校はいずれも小規模校の部類に属し、教師や大人の目が行き届き、手をかけやすい環境にあります。そのため子ども同士の人間関係において、自身の意思を表現すること、友達とのトラブルに柔軟に対処すること、友達同士で相談し企画運営することなどに慣れていない子どもも多いと言えます。
(3)保護者や地域の方々の思いを
 上記(1)(2)を考慮して、これまでも各校で目指す子ども像(つけたい力)を明確にしたうえで学校教育目標を設定しています。現在、各校で考えている目指す子ども像(つけたい力)を分析すると、アンケート調査にも書かせていただいたとおり、①主体性 ②たくましさ ③こころざし ④地域貢献 ⑤やさしさ の5つにまとめることができます。
 現在も、この5つの項目については、どの学校でも重要なものであると捉えていますし、今後も変わるものではありません。しかしながら、各校でどの項目に力点を置いているかということになると微妙に違いが見られます。例えば、向笠小の学校教育目標「瞳を輝かせ 最後までやり遂げる子」を見てみると、「瞳を輝かせ」には①主体性や⑤やさしさが色濃くなっていますし、「最後までやり遂げる子」には②たくましさを育てたいとの思いが強く出されています。では、本校では③こころざし ④地域貢献 は育てていないのかと言えば、これまでのホームページや学校・学年だより等でお伝えしているとおり、幾つかの活動を通して育成しようと取り組んでいます。
 他の3校についても、本校と同じように5つのものをどれも大事だと考えていますが、特に力点を置くものはどれかとなると多少の違いがあります。
 そこで、4校の学校教育目標を一つにそろえるにあたって、特に力点を置くものをどれにしようかと検討する必要があります。その際に、保護者や地域の皆様からの御意見も参考にしたいと考えています。

5 おわりに
 今回のアンケート結果については、学府だよりや各校ホームページに掲載するとともに、3月開催予定の学府運営協議会の場において、この結果をふまえた学府経営構想をご説明させていただく予定でいます。