校長室から

教師という仕事のすばらしさを強く思う(校長室から)

2020年7月6日 11時22分
保護者向けの話

 先週末、熊本県では豪雨のため被災された方も多いと聞きます。本校は自然豊かな環境の中に立地しているので、何だか他人事だとは思えず、映像から目をそむけたくなる思いでした。心からお見舞い申し上げます。

 さて、県教育委員会のホームページを見ると、先週末には、令和3年度教員採用選考1次試験が行われたようで、小学校教員に833人、中学校教員に748人もの若者が挑戦したということでした。様々な媒体で、教員の仕事は長時間労働であることやクレームも多いことから「ブラックだ」と言われて久しいですが、これだけの若者が教員になりたいと思ってくれることに嬉しい気持ちになりました。これらの若者にぜひ、「子どもの明るい声と笑顔の中で仕事ができる教員という仕事はいいぞ」と言ってあげたい気分です。

 確かに大人が仕事として行うのですから厳しさはあります。子どもの頃のように頑張っていることだけでは褒められるなどということは絶対にありません。いい授業をしなければいけないし、子どもたちの安全・安心を保障しなければいけません。でも結果を求められるのは、教員に限ったことではなく、どんな仕事でも一緒だと思うのです。いい結果を得るために常に努力しなければいけないことも、教員に限ったことではありません。

 教員の仕事は、数字で結果が出るわけではありません。子どもの表情が教員の仕事の良しあしを物語ってくれます。子どもは正直ですから「もっとやりたい」と嬉しいことを言ってくれる半面、「つまらない」とも言ってくれます。

 個人的な話をすると、私も学級担任の頃、子どもの笑顔を勝ち取るためにどんな授業をしようかと長い時間悩みましたし、保護者に私の思いや学級の現状を伝えたいとの思いから週に2~3回は学級だよりを出していました。子どもとは1日おきの交換日記もしていました。まさに寝る時間を惜しんで・・といったところですが、自分がやりたいと思ってやっていただけですので、「多忙感」を感じたことはありませんでした。逆に楽しくて仕方ありませんでした。
 でも、私が学級担任の時に行った上述のことを本校の先生たちに求めようとは思いません。本校では、既にそれぞれの先生がそれぞれのやり方で結果を求めるために懸命に努力してくれていることを私は知っていますから・・。

 もう一つ、個人的な話をすると、私は学級担任であった頃、保護者からどれだけ励まされたか分かりません。私のやり方に理解できないとき、「先生のあのやり方はおかしいと思うのですが・・。」と冷静に意見を言いに来てくれた保護者もいました。そんな時は「確かに○○さんの言う通りです。ごめんなさい。」となるわけです。本読みカードや連絡帳に書いてくれた「ありがとうございます」の保護者からの一言に救われたことは数知れません。そんな一言で、教師は「また頑張ろう」と思えるのです。


 私は、これまで県教委や市教委にも勤務させていただいたこともありますが、やはり学校で勤務する方が何倍も楽しいです。これは、どちらの仕事がいいかを論じるものではありません。行政職で懸命に努力されている方も大勢いますし、その仕事に情熱を燃やしている方も見てきました。でも、私は子どもたちが目の前にいる今の仕事の方が楽しいと思っています。
 さらに市教委にいるときは、多くの保護者や市民の方から意見をいただくこともありました。かなり感情的に話される方もいますが、よくよく聞いてみると、学校や学校の先生に期待を抱いてくださっていることが分かります。「世の中には悪いことをする人もいっぱいいるけど、学校は夢を語る場所であってほしいし、学校の先生にだけはそうなってほしくない・・」といった思いから意見を言ってくださっていることがよく分かりました。

 子どものために働きたいと心から思っている若者にこそ、学校の先生になってほしいと強く願っています。教師という仕事は、私が30年以上やっても未だ飽きることがない仕事ですし、それどころか奥が深くやりがいのある仕事だと、胸をはって言えます。